樺沢のシカゴ日記
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シカゴ
ダウンタウンの夕日
ミシガン湖クルーズの船より撮影


Vol.3 「樺沢、ハンバーガー中毒となる」
 食べ物の話題がいつ出てくるかと期待している人も多いだろう。そろそろ入れておかないと、怒られるか・・・。あまりにもいろいろなものを食べ過ぎて更新不能になっているというのが、正直なところだ。アメリカン・フードの探索はかなり進んできた。今後も種々のアメリカン・フードが登場するであろう。楽しみにしていただきたい。
 さて、食べ物話、第一話。アメリカン・フードといえば、やはりハンバーガーであろう。アメリカ人の国民食とも言われる。日本にいた時は、ハンバーガーなど滅多に食べなかった。といっても、月1回くらいは食べていたかな? 食べ物持込み禁止の映画館に、秘密裏に持ち込んで、暗闇の中で食べる食べ物としてはハンバーガーは便利だ。しかし、その味に関しては、それほどおいしとは思わない。いや、味は良いのかもしれない。しかし、バンズ(丸いパン)が柔らかぎる。フカフカしすぎなのだ。これでは食べた気がしない。結局、バーガー1個では満腹感は得られず、2個食べる羽目となる。しかし、2個食べてもあまり満腹にはならないのだ。純真な高校生ではないので、バリューセットだけでは決して満足できない。サイドメニューやらデザートやらを追加で頼んでくと700円を超える。1個あたりの単価が安いので、ついついサイドメニューも頼んでしまう。普通のちゃんとした店で一食、食べればよかった、後になって後悔する。と言いながらも、サイドメニューを頼んでいるところを見ると、意外と楽しんでいるのかもしれないが・・・。
「日本のバーガーもバンズさえ、もう少ししっかりしたものにしてくれれば、もっとおいしいのになあ」。これが、日本にいた時の私のハンバーガーに対する率直な感想である。決してダメではないのだが、もっとおいしくなりそうじゅないか。
 さてアメリカである。アメリカのバーガーはおいしい。アメリカには10回以上来ているが、日本のバーガーよりは、はるかにおいしいと以前から思っていた。それはバンズがフワフワしすぎない。パティ(肉)も固めで、適度な歯ごたえが楽しめる。しっかりとした食感があって食べ応えがあるのである。
 とはいえ、「凄いおいしい食べ物」とまではいかない。
 シカゴに来て、何軒もの店でハンバーガーを食べる。1ヶ月で六、七軒は行っただろうか。結構、行っているなあ。カレー屋の新店めぐりをむしなくて良いので、探索が妙にはかどる。今で行った中で、二軒ほど凄くおいしいハンバーガーがあった。
「ハンバーガーってこんなにおいしかったのか・・・」
 全身に戦慄が走った。私のハンバーガー人生を180度変える出来事である。私のハンバーグ人生などたいしたものではないから、それほどの大事件ではないのだが、ちょっとした驚きではある。
 私の職場から歩いて5分ほどのところに「ピタ・ザ・グリーク」というギリシャ人がやっているハンバーガー、サンドイッチのショップがある。メインは「ギロス」というギリシャ料理なのだが、普通のハンバーガー、ホットドック、その他全てがおいしい。実は、先週は週3回食べた。他店ではハンバーガーを2回食べたので、結局先週は1週間で5個のバーガーを食べたことになる。こうなるともうハンバーガー中毒だ。スープカレーの禁断症状は、出ないのかって? 不思議なことに全く出ていない。それよりも、アメリカン・フードの探索で私は忙しいのだ。
 食べるたびに思う。どうして、ここ(「ピタ・ザ・グリーク」)のハンバーガーはこんなにおいしいのか? ベーシックなハンバーガーは、どこの店でも入っている具は同じだ。パティ、ピクルス、スライスしたトマト、刻みタマネギ、レタスである。レタスは入っていないところもある。トマト、レタス、タマネギの味は、どこでもそう変わらないだろう。ピクルスもおいしくないピクルスは時々あるが、絶品のピクルスというのも食べたことはない。
 重要なのは、パティとバンズである。毎回食べて思うのは、まず熱々であるということ。アメリカのハンバーガー店の多くは(チェーン店は除く)、注文を受けてからパティとバンズを焼く。作り起きはしない。したがって、注文してから5分は待たされる。しかし、その代価として出来て、熱々のバーガーを食べることが出来る。スープカレーもそうだが、温かいものを温かいうちに食べる。これは、料理の基本であり、最大のポイントだ。
 特に、パンに焼きが入っているというのが重要だ。自分の家でトーストしてもそうだが、焼きを入れることで表面はカリッと、そして中はフワットする。日本のハンバーガー・チェーンでは、パンズを焼いているところは少ないと思う。ここが、おしいさの秘密と見た。
 もう一つは焼き加減だ。焼きを入れるということは重要だが、その焼き加減がさらに重要となる。焼すぎてもダメ。焼きが足りなくてもダメ。特に、パティの方が影響を受ける。表面はパリッと、中は肉の旨みが封じ込めてジューシーでなくてはいけない。火が入りすぎるとバサッとするし、焼きが少ないと表面のパリッと感、歯ごたえもない。この変の焼加減の職人技が、ハンバーガーの旨さを左右するのではないか? と昼休みに、ハンバーガーをパクっきながら、考えをめぐらす。ちっとも頭は休まっていない。いやいや、これが大きな気分転換になるのだ。
 さて夏休みも近づき、アメリカに旅行する人も多いだろう。アメリカへの旅行客は昨年比3%増の予想だ。アメリカに来たら、是非、本場アメリカのハンバーガーにチャレンジしていただきたい。
 店を選ぶ際の注意事項。まず、チェーン店は止めた方が良い。チェーン店は、「待ち時間を少なく」ということを最優先している。日本では注文してから1分以内に出てくる。アメリカでも同じはずだが、多少要領が悪い。それでも、待ち時間は短い。しかし、早く出す分、味が犠牲にされている。注文を受けてから焼き始める、こじんまりとした店をお勧めする。
 またチェーン店の場合は、機械化されて、焼き時間が一定である。「著しくおいしくない」、ということはないかわりに、「感動するほどおいしい」ということもない。
「ピタ・ザ・グリーク」のバーガーを食べていると、これは職人技なのだな、と思う。職人技というのは、その日の気温や湿度、肉質の違いなどによって焼加減を微調整するような細かい技、ということである。実際にそれを考えているかは知らないが、私はそう信じる。
 明日も「ピタ・ザ・グリーク」でバーガーを食べようか・・・。
 それにしても、週5回もバーガー食って飽きないの? そう思う人も多いだろう。私自身もそう思う。しかし、なかなか飽きないのである。その理由は、次に続く。            
(2004年6月7日) 
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