樺沢紫苑のシカゴ激辛カレー批評
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「樺沢インド・フェスティバルへ行く」の巻
    

Indian Heritage

Soldier Field, Chicago

2004年5月30日〜31日

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メガ・マサラ・ボウル
$3.00

 メモリアルデーの祝日にあたる週末、5月29日に「Indian Herritage」(インドの遺産)、わかりやすくいえば、「インド・フェスティバル」なるものに行ってきた。場所はソルジャー・フィールド。シカゴを本拠地とするフットボールチーム、シカゴ・ベアーズのホームグラウンドである。しかし、こっちの競技場というのは、途方もなく巨大だ。でかすぎて入り口がわからない。人の流れについて行ってみると、駐車場の入り口にきてしまった。別な方向である。
 しかし、あたりにはインド人がたくさんいる。この周囲には、フィールド自然博物館やプラネタリウムもあるが、彼らはどうみても「Indian Herritage」に来たとしか思えない。とりあえず、一人のインド人に「Indian Herritage」の入り口はどこか、と尋ねてみたが、彼らも場所がわからずにさまよっていたのだ。
 結局外に出て、ソルジャー・フィールドをぐるりと一周してみる。ソルジャー・フィールドの入り口は全て閉鎖されていて、どうみてもこの中でフェスティバルをやっていないことが判明した。

 ソルジャー・フィールドの南側の方へ行くと、何やら聞きなれない音楽が小さく聞こえてきた。いや、これは聞きなれた音楽だ。「インド音楽じゃないか」。時々、ヒンズー語で呼び込みをしているような声も聞こえる。間違いない。この音は、「Indian Herritage」をやっている音に違いない。しかし、会場は全く見えない。音の方向へめざして歩いていくこと10分。ようやく、テントがたくさん並んでいる「Indian Herritage」の会場が見えた。場所は、ソルジャー・フィールドの最も南側の駐車場。ソルジャー・フィールドの入り口から400〜500メートル離れているが、隣にあるコンベンションセンター「マコーミック・プレイス」の入り口からは50メートルほどのところだ!!  ソルジャー・フィールドの入り口に着いてから、会場に到達するまで、実に40分ほどもかかった。
「Indian Heritage」のチラシには、会場は「ソルジャー・フィールド」としか書かれていないのだ。「ソルジャー・フィールドの駐車場、マコーミック・プレイス入口そば」とか、いろいろ書きようがあるだろう。あるいは、ソルジャー・フィールドの入り口のあたりに看板を出しておいてくれるとか。おそらく、多くの人たちが、この会場に到達できずに、帰ってしまったに違いない。私の家内も、一緒に「Indian Heritage」を見るつもりだったが、場所が見つからないことに腹を立てて、隣のプラネタリウムへ一人で行ってしまった。
 まあ、こういう不親切はアメリカでは日常茶飯事である。ようやく、渡米して一ヶ月以上がたち、かなり慣れてきた。とにかく、アメリカでは手続きなどの待ち時間が長く、無駄な時間を過ごすことが多い。そうした、時間もゆとりというか、余裕として楽しまなくてはいけない。それがアメリカ流だ。と、自らを励ます。
 今日も、「Indian Herritage」の見学に、余裕をみて3時間ほども当てているので、40分ロスしても全くヘッチャラである。さて、入場料$5を払って入場する。さすがは、アメリカ。規模がでかい。ちょっとしたコンベンションみたいな感じで、全部で100くらいの業者、グループが参加していだ。客の95%はインド人である。まれに、黒人やアジア系の人もいた。

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全体の雰囲気

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 まずは、お目当てである、フードを出しているスペースに行く。フードを出している店は8-9軒で全体の割合と比べると、少ない印象。そのせいか、かなり混んでいる。どこのブースも行列ができている。インド各地のカレーが楽しめるのではないか、と予想していたが、ちょっと違う。まず、メニューを見てもカレーというものはない。写真(右下のメニュー)のように、聞いたこともない名前ばかりが並んでいる。主食のパン類の違いによってメニューを選ぶらしい。一つの店でカレーは一種類(鍋一つ)しかおいていない。パン類といっても、チャパティとかナンとか、我々になじみの深いオーソドックな食べ物はないのには驚いた。
 まずは、どこの店を選ぶか迷う。南インド料理という看板に引かれて、そこの店に並ぶ。メニューが分からないので、注文に困る。前の人の頼んだのがおいしそうだったので、「それは何というものか?」と尋ねると「イドゥリィ」だという。それでは、「イドゥリィ一つ」と注文する。$3と結構安い。

 飲み物は「チャイ」もあったが、これはオーソドックすぎる。丁度、となりの店で、サトウキビをその場で搾ってジュースとして売っていた。飲み物はこれに決定。コップになみなみに注いでくれたので、持った瞬間にあふれだした。これも、$3だ。しかし、30セント分は、私のジーンズにしみこんだ。
「イドゥリィ」とは、聞いたことがなかった。蒸しパンのようなものであった。白くて小さくて丸い。結構ミッチリとした密度が高いパンである。味的には普通だ。特に下味もついていない。蒸しパンの味である。カレーにつけて食べると、カレーをよく吸収するのでグッド。カレーは、南インドなのでスープ状を期待したが、スープ状というよりは、結構トロミがある。ポタージュくらいの粘度である。
味はスパイスは控えめで、あまり辛くない。うまみもそれほどない。とにかく、サラリとした感じで、スイスイと食べられるカレーである。具は全くない。

 大きな唐辛子が一本入っていた。「これを食べるのは危険だな」と思い残した。会場の席は、とても混んでいて、インド人と相席していた。唐辛子一本を残している私の皿を見て、隣のインド人が話しかけてきた。
「その唐辛子はおいしぞ。なぜ、残す。食べた方が良いぞ」。
 余計なお世話である。しかし、ここで私が断ってしまっては、日印友好の架け橋に水を指すことにもなりかねない。また、唐辛子一本を恐れているようじゃ、樺沢紫苑の名がすたる。勇気を出して唐辛子をパクリ。うっ、辛い。しかし、度を越えた辛さではない。確かに、「おいしいぞ」と言った、インド人の言葉はウソではなかった。食べられる唐辛子である。ただ、もう下膳しようと思い、ドリンクを全くなかったのが、少々つらかった。
 下三分の一の白っぽいのは、ヨーグルトの入ったスープみたいなもの。ヨーグルト、そのものではない。
 サトウキビのジュースは、甘いジュースである。ココナッツミルクにも似ているが、ココナッツのようなしつこさやベトベト感はなく、サラリと飲める。それでいて、甘すぎることもなく、自然の甘さそのもので心地よい。アメリカでは、甘味料の甘さにうんざりしていたので、これはグッドだ。
 イドゥリィは$3という値段のせいか、そんなにボリュームはなかった。ペロリとたいらげてしまう。とはいえ、別のメニューを半分くらいなら食べられても、もう一皿という余裕もない。

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ビッグドーサ
こんなの見たことない


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イドゥリィ $3.00

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南インド料理の店

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サトウキビ絞りの
おじさん

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サトウキビ・ジュース
$3.00

 とりあえず、他のフードの店も物色だけしてみる。タ−バンを巻いたインド人が小麦粉の汁みたいなのを布の袋に入れて、そこからうまいこと紐状に小麦粉汁を出して、油の入った鍋に直接注ぎこんで、揚げている。オレンジの色彩が鮮やか。どうやら、インドのデザートのようだ。とりあえず、「これは何というものか」と尋ねたら、「サモサ・シズラーだ」と答えた。これまた$3なので、挑戦しないてはない。一つ購入。とはいえ、7-8枚も入っている。他の客のを見ていたが、人によって5枚くらいの時もあり、かなりいいかげんだ。その辺も、インドっぽい。とりあえず、多いのに当たってラッキーである。
 油で揚げているが油がきちんと切れていないせいか、かなり表面が油っぽい。甘い。サクッとした食感。甘くて細いドナーツとでも言おうか。これは結構いける。しかし、これ全部を一人で食べるのはきつい。そう思いながら、シズラーをつまみ、他の食べ物以外のブースを見学に行こう。と思ったとたん、シズラーの中から油が噴出して、ジャケットにかかった。こりゃいかん。あわててふくも、全てを拭ききれるわけもなく、オレンジ色の跡が点々とジャケットに残る。しまった。これはクリーニングが必要な状態だ。たった$3の食べ物だったが、かなり高くついたようだ。
 さて、食べ物以外のブースだが、インド雑貨、織物、絵画、彫刻、音楽CD、アンティークとあらゆるものが揃っているといって良い。個人的にはそれほど興味がないので、遠目から見るだけに。

 ヨガのブースがあった。何と、あの空中浮揚を実演するという。あの、オウム真理教の麻原が行っていたという、あの空中浮揚だ。ヨガの奥義として実際にあるのだ。時間は3、4、5時から。丁度、今は2時半である。よし、これは見ないといけない。後で来ようと、記憶に留める。
 一番奥のステージでは、インド音楽の生演奏をしていた。なんだか、全く盛り上がっていない。だいたいにして舞台の真ん中ではなく、端っこで演奏しているし。そういえば、このイベントは昼12時から夜9時まで、二日間もやるのだ。こいつら、体力温存しているな。多分、夜になるとどんちゃん騒ぎになるのかもしれない。

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サモサ・シズラー?
$3.00

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デザートの店
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生演奏
なぜ、舞台の中央で演奏しない?

 それをしばらく鑑賞してから、フードスペースにカンバック。別メニューに挑戦とする。
「マサラ・ボウル」という店に、長蛇の列が出来ている。さっきも人が並んでいたが、一層列が長くなっている。20人くらいは並んでいるだろうか。これはきっとおいしいに違いない。そう判断して、列に並ぶ。今は、2時45分。空中浮揚までにはまだ時間がある。さて、注文をどれにしようか。店名を冠した「マサラ・ボウル」にするか。それとも、いろいろな種類を一度に楽しめる「メガ・マサラ・ミックス」にするか? 他の客の注文を見ていると、「マサラ・ボウル」というのは、ボウル状の揚げ物の上に数種類のスパイスをかけたものらしい。「メガ・マサラ・ミックス」は、何種類かの揚げ物にスパイスをかけたもの。同じ$3なので、お得な「メガ・マサラ・ミックス」にした。
 それにしても、列が一向に進まない。要領が悪すぎる。自分が並んだときは20人ほどだった列がいつのまにか二倍以上にのびて50人ほどにまでなっている。
 ようやく自分の番だ。「メガ・マサラ・ミックス」ゲット。この$3の一皿のために、結局30分以上も並ばされた。まずは、いただく。インド風ネコまんまという感じか。サモサ(揚げ餃子)、豆のコロッケ、カリカリのフライドポテトの上に、ヒヨコ豆のカレーとヨーグルトソース。そして、数種のスパイスがかかっている。主食というよりも、スナック感覚だ。しかし、インドの雰囲気は堪能できる一皿だ。満足、満足、と悦に入る。
 しまった、時間を忘れていた。時計を見ると、何と3時30分である。空中浮揚が終わっているじゃないか。ちきしょー。でも、4時の回もある。いやいや、そのために、あと30分待つ気もしない。家内との待ち合わせの時間も迫ってきたし。
 

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メガ・マサラ・ミックス $3.00
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商品見本
下のメニューのどれに対応するかわかる?

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これがメニュー
ほとんど聞いたこともない食べ物ばかり

 デザートとして、インドのアイスキャンディの店で締めくくることに。看板が食欲をそそる。これだけ食っているのに・・・。
 インドっぽいのは・・・ということで、「サフランピスタチオ」味を注文。これも、$3だ。何だ。全部、$3じゃないか。「メガ・マサラ・ミックス」の$3に比べて、このアイスキャンディの$3は妙に高く感じられるが、まあいい。
 味は、結構いける。サフランの風味は、キャンディの甘みと、ミスマッチではない。かといって、ベストマッチでもない。サフランとピスタチオのツブが入ったサフラン味のキャンディ。全く名前の通りの味わいで、それ以上でも、それ以下でもない。
 かなり満腹。今まで食べたこともないし、聞いたこともないインドの食べ物を食べられて、非常に満足である。入場料$5にクリーニング代を加え、会場を探すのに要した40分と「マサラ・ボウル」の列に並んだ30分の時間の無駄を差し引いても、貴重な経験をした・・・と思う。

 さて、プラネタリウムに行った家内を待ち合わせ場所で待つ。ところが、20分も遅刻しやがった。バカヤロー。これじゃあ、空中浮揚が見れたじゃないか。やっぱり、空中浮揚が見たかった私である。
 来年また来てやるー。
  (2004年5月30日)

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アイス・キャンディ
サフランピスタチオ味 $3.00


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