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激辛カレー批評 |
スリランカの風 札幌市中央区南6条13丁目 |
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おそらく、6月(2001年)に開店したばかりの店である。タウン誌等に先駆けて、当ホームページで紹介しよう。 |
場所は南6条沿いにある。マンションのため少し奥まっているので、遠くからは看板が見えないが、カレーののぼりが上がっているので、わかりやすい。「スリランカの風」という店名とはにつかわしくない、さわやかな青い看板である。 店内はカウンターのみで、オープン・キッチンになっており、カレーを作っている様子が全て見える。 まだオープンしたばかりで知名度がないせいか、ランチ時間なのに私しか客はいない(大丈夫?)。 通常のシステムは、450円の基本ルーに、いろいろなトッピングをのせていくというシステム。しかし、ランチタイムには、いろいろな具が入った、ランチ・スペシャルが楽しめる。ちなみに、ランチ・スペシャルには、チキン、玉子、ダイコン、ナンジン、ソーセージ、チーズと6種類の具が入っていた。 客がいないというのに、注文してからカレーが出てくるまでに10分以上はかかった。丁寧に作っているのはわかるが、もし混雑したらどれだけ時間がかかるのか心配になる。 |
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カレーのスープには赤みがある。一口食べる。トマトの風味、トマトの酸味が口の中に広がる。さわやかな味わい。スパイスや辛味は、非常にやわい。トマトの風味が、肉の味のスープと合わさって、ミートソースのような感じである。カレーライスというよりは、ミートかけごはんである。 |
トマト系といえば、「ぱお」「ノアノア」「スパイス・ベリー」の赤カレーなどが思い浮かぶ。 トマトの割合がもっと増えると「ぱお」に近づくし、トマトの割合が減ってスパイスの旨みが加われば「ノアノア」のような味になる。何か、味付けに迷いがあるというか、中途半端な感じがする。 それはそれでおいしいのだが、「スリランカの風」という店名から予想される味とは大きく異なる。これなら店名を「ナポリの風」に変えた方がいいのではないか。 多数入っていた具の中で、もっともおいしかったのは、ダイコンである。オデンのよにダシで煮込まれたダイコンは秀逸である。 チキンはやわらかく煮込まれていて、やわらかくておいしい。しかし、一番いけないのは玉子である。玉子は一つまんま入っている。玉子がまるまる一個入っているというのは、ありそうでなかなかない。札幌市内でも数軒しかない。ゆで玉子が嫌いという日本人はあんまりいないので、玉子一個であっても、ささやかな贅沢なのである。しかし、この玉子には何の変哲もない。ダイコンと同じように煮込んであるのだろうか? ダイコンにしみていたうまみは、この玉子には全く染み込んでいない。単なるゆで玉子。ゆで具合にも工夫はない。例えば、丸々一個の玉子をそのまま使うという方式であれば、半熟卵にしてしまうというのも、大胆な試みになるが、かなり火の通ったゆで卵で全くおもしろみにかける。 ニンジンは普通だが、少し量が少ない。 チーズというのは、ちょっとおもしろい。チーズが入ったカレーは「ピッキーヌ」「スパイス厨房」など何軒かあるが、普通はとろけるチーズである。しかし、ここのチーズは、普通のプロセス・チーズである。「えっ」と一瞬思うが、熱でほどよく柔らかくなっており、スープに溶け出して味をかく乱することもなく、非常に良い具だと思った。 辛さスパイスと風味スパイスを自分で調整できるようにおいてあるのは、一見して非常によいサービスに思えるが、それが「SB食品」の既製品である点が興をそぐ。せめて、オリジナル・ブレンドのスパイスなして、ちょっと客を楽しませてほしい。 なお、辛さの調整は、客にまかせるのではなく、最初から注文を受けてやってほしい。ちなみに、自分で辛さを調整するシステムのカレー屋はことごとく潰れている(例「ザイオン・ロックス」「ジャンタル・マンタル」「銀の塔」など)。 スープがまだ洗練されていない。トマトの味に頼りすぎている。「スリランカ」を名乗るのであれば、客はもっとスパイシーなカレーを期待するであろうから、もっと辛さを加える(辛いカレーをメニューに加える)方がいいだろう。 決しておいしくないわけではない。しかし、オープンしたばかりで、酷評して申し訳ないが、早急に改善しないと、「一灯庵」「ピッキーヌ」から五分と離れていないこの場所で生き残っていくことは不可能である。 |
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