樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
喫茶 アート 函館市末広町 ラーメン「マメさん」の数件左隣 |
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函館ベイエイリアを散策していると、突然「カレー」ののぼり(右写真)を発見した。 どうしてもこの店のカレーを食べたい衝動にかられるが、先ほど昼食はすましたばかりである。「残念」と思いながらも、店に近づいてメニューが書かれた張り紙を物色すると、テイクアウト可能と書かれている。すかさず、店内に入り「アート風レッドカレー」をテイクアウトで注文した。したがって、今回はテイクアウトのカレー画像で失礼する。 待ち時間に、店内の張り紙を見ると「愛の貧乏脱出作戦」に登場した店と説明されている。普通の喫茶店だが、目玉のメニューとして「ロールキャベツシチュー」と、この「レッドカレー」があるらしい。 |
家に持ち帰り、翌日に試食した。 外観は、明らかに、ライスが多く、ルーが少ない。バランスが悪い。 しかし、カレーは真っ赤である。非常に濃い赤である。タイカレーや、スープカレーで真っ赤なカレーはよくあるが、ルーカレーでここまで真っ赤なのは見たことがない。まさに、レッドカレーの名に恥じない。 一口試食すると、まず甘味がくる。それに、引き続き旨みが来る。あまり辛くないな、と油断して食べていると三口ほどしてから、辛味が効いてきた。しかし、ルーカレーの激辛カレーによくみられるような、不快な辛さではない。汗もにじんでくる心地よい辛さである。かなりの辛さであるから、辛いのが苦手な人は全部食べれない可能性もあるので、警告しておく。。 下地のルーの味が結構いけるし、辛味と合い舞って、ライスが非常にはかどる。最初は、ライスの割合が多いと思ったが、ルー少しに対してライスをたくさん食べなくては、割が合わないことに気付いた。結果として、最後には辻褄が合い、このルーにこみのカレーの量が丁度良いのだと気づく。 ピクルスが結構な量入っており、口直しとしてありがたい。 具というのは、特に入っていない。タマネギや肉が判断不能なきざまれた状態で、ルーの中に混じっている。 総評として、喫茶店のカレーと考えると、非常においしい、そこそこの満足感を味わえる。では、私がもう一度この店を訪れるかと聞かれると、答えは「クエッション」である。この店が今後生き延びるためには、いくつかの問題点が存在する。そして、なぜこの店が「愛の貧乏脱出作戦」に出なければいけなかったかも、よく分かった。 この店のロケーションは、非常に良い。函館ベイエリアに位置し、この店の向かいの金森洋物館や函館海鮮市場には、観光客が大型バスで山のように押し寄せる。函館の大観光スポットに位置している。しかし、観光客はこの「アート」には決して入らないだろう。観光客は、函館まで何を食べに来るのか。それは、カニであったり、イカソーメンであったり、海の幸を期待しているに違いないのだ。 したがって、この「アート」の前を通って、カレーののぼりにヨダレを流し、ついつい店の中に引き込まれてしまうのは、私のようなカレー・マニアだけなのである。もしこの店が、学生街であったり、繁華街に位置するのなら、このカレー、あるいはロールキャベツシチューを目玉料理として、繁盛店に生まれ変わることができたかもしれない。しかし実際は、私が訪れた時は、常連客らしき男性がママと世間話をしているだけで、閑古鳥が泣いていた。ちなみに、最近オープンした数軒隣のラーメン屋は、満員である。 おいしいメニューを出したからといって客が来るとは限らない。厳しい現実がそこにある。 「愛の貧乏脱出作戦」のとき、この店に助言をしたのが、誰かは知らないが、「ロールキャベツシチュー」がメインメニューでは、どんなにそのシチューがおいしくても、このロケーションでは苦戦をしいられることは間違いない。TPOを熟知した店作りというのが不可欠なのである。 では、どんなメニューが良いであろう。「カニの身たっぷりのコロッケカレー」とか「海鮮カニクラムチャウダー」なんてどうであろうか。観光客の食欲をそそるメニュー作り、多少の工夫が必要であろう。今後の健闘を期待したい。 (2001年4月14日) |
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