樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
インディアン 東店 帯広市東3条南11丁目
|
|
帯広で最も有名なカレー屋は、「インディアン」である。以前、帯広に来た時に食べたことはあったが、写真をとっていなかったので、せつかく帯広に来たので寄ってみた。 今回「カレー50」の出版に当たり、帯広の人の中には「なぜ、インディアンが入っていないのか?」と疑問に思う人もいただろうが、あまりにも有名すぎて、今さら紹介しても全く驚きもないし、帯広人にとって「カレーが好き」という人で、、「インディアン」に行ったことのない人はほとんどいないだろうから、敢えて紹介する意義が乏しいと判断した。また観光客に推薦するという視点から考えても、わざわざ遠方から来た人が「インディアンカレー」と「豚丼」を食べた場合、「豚丼を我慢しても食べるべき」とまでは言えないと思う。これは、庶民の味なのだ。特別食ではなく、常食。「吉野家」とか「マック」に近いもので、安くて適度においしいから、週何回か食べることもあるという、常食である。 さて、私が店に入った瞬間に、おばさんは左手に鉄皿、右手にへらを持ち、すぐにライスを盛れる姿勢をとり、私の注文を待ち構える。最もオーソドックスなインディアンカレーを頼む。一分もせずに、カレーが置かれる。早い。 そして、味はうまい。あまみが十分にあるルーカレー。ライスと非常に合う。 早い、安い、旨いの三拍子そろったカレーで、コストパフォーマンス的には右に出る店はない。帯広市民の支持を受けるのも良くわかる。 それにしても、「リトルスプーン」のカレーとそっくりな味だ。それに料金やシステムまで。もちろん、「インディアン」の方が歴史が古いのは言うまでもないが。 「常食カレー」と「ごちそうカレー」は、追求すべき方向性が異なる。 社員食堂のカレーもそうだが、「常食のカレー」というのは、毎日食べても飽きない、誰が食べてもおいしいということが重要なのである。すなわちオリジナリティを削った普遍性が要求される。一方、「ごちそうカレー」は、その店でしか食べられないオリジナリティ、個性が要求される。 「インディアンカレー」は「常食カレー」として完成されている。 当然ながら、「カレー50」は「今日はおいしいカレーを食べたい」という人に、特別なごちそうカレーを紹介する本であるから、「インディアン」が入らないのは、必然なのである。 (2003年7月5日) |
|
[ホーム] |