樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
スパイスガーデン 帯広市大通南11丁目 0155-26-5767 |
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帯広でおいしいカレーの店の情報を集めていたが、「ライオンハウス」に関しては、不思議なことにその感想が真っ二つに分かれていた。ある友人はこの味が好きで、あししげく通っているというが、別な人は「粉っぽくて食べづらい」と言う。さて、実際の味はどうであろうか? 今回行ったのは、「ガーデンハウス」の方である。「ガーデンハウス」は、「ライオンハウス」(帯広市東一条南二十条)の支店として2002年9月に帯広繁華街近くにオープンした。ランチのみならず、夜間の営業に力を入れているようで、ドリンクメニューが充実している。メニューに若干の違いはあるものの、カレーの味は「ライオンハウスス」と同じである。 |
「ライオンハウスス」は、帯広では有名なスリランカカレーの店として名が通っている。「スリランカにライオンなどいるのか?」と思うが、「ライオンハウス」は店主の名前ライオネル・ペレル氏に由来している。 メニューはスリランカの一般的なカレーを再現した「スタンダードカレー」とこの店オリジナルの「スペシャルカレー」の二種類に大別される。他に、野菜や肉のスパイス炒めのようなデビルド料理があり、メニュー数は20を超える。具によってスパイスとソース自体が全く異なるので、具は自分の好みでセレクトする必要があるのだが、迷うこと必至。 この味を一言でいうと「本格的」ということ。口当たりは多少粉っぽい、スパイスの風味が十分だが、普段食べているインドカレーのスパイス使いとはまったく異なるので当惑する。 タンドリーは、かなり固めで歯ごたえがある。 ココナッツミルクの味がしないので尋ねたところ、ココナッツミルクは日本人に好き嫌いが多いので牛乳を使っている。その部分だけ、日本人向けにアレンジしているが、その他のスパイス使いはスリランカの味、そのものだそうだ。 実際、現在のシェフは2ヶ月前に日本に来たばかりのスリランカ人シェフだった。札幌にスリランカカレーの店はたくさんあるが、私がスリランカで食べたカレーは、ほとんどココナッツミルクが入ったもので、札幌のスレランカ風スープカレーのようなもの食べられなかった。「スパイスガーデン」のスリランカカレーは、私が食べたスリランカのカレーに近いものであった。 |
辛さは「スーパーマイルド」「レギュラー」「ストロング」の三段階。「ストロング」を頼んだが、かなりの辛さ。「辛さに自信あり」と堂々と言える人以外は、「レギュラー」を注文するのが無難。なお、「ライオンハウス」ではさらに辛いのがあり5段階。ここ「スパイスガーデン」でも、上の辛さにも対応してくれるとのこと。 インド料理、タイ料理などの専門店はたくさんあるが、ほとんどの店が日本人向けに食べやすいようにアレンジしている。しかし、ここのスリランカカレーは、そのアレンジが最小限であり、ほほとんどないと言ってもいいくらいだ。 そこが、この店の長所であり、欠点でもあるのだろう。本場の味を提供し、その味に驚いて欲しい。そして、その味に慣れて欲しいというスタンス。日本人の舌に合わせた妥協したカレーを提供するのではなく、日本人の舌に新しいスリランカの味を記憶して欲しいという方向性は、既存のエスニック料理店のビジョンとは全く異なり感心した。 |
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結果として、この味に魅了されて常連になる人と、なかなか食べ慣れない味でおいしいと感じない人に二分される結果となるのだろう。しかしながら、長年の努力のかいあって、前者の本格スリランカの味を理解する人は、かなり増えているようである。 ライス以外にもナンがある。しかし、カレーの個性があまりにも強過ぎるので、ナンだとその個性を十分受け止められないように感じた。まずは、ライスで食べて欲しい。 それと、非常にボリュームが多い。 カレーの種類によって味が全く異なることもあり、インド料理店同様、三、四人で行って多種類のカレーを味わうことをお勧めする。 (2003年7月5日) |
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