樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
インドカレーハウス ナマス亭 札幌市東区北34条東16丁目 |
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「ナマス亭」は、2003年1月15日にオープンした、タージ・マハール・グループの店である。店名の「ナマス亭」は、ヒンズー語の「ナマステ(こんにちは)」に由来していることは、カレー好きに説明するまでもないだろう。 場所は、札幌新道沿い。「蔦谷書店」に接しており、中で通じている。駐車場は、「蔦谷」と共同である。東豊線「新道東」の2番出口の隣りでもあり、交通の便は良い。 店の中に入って店内の様子と、メニューを見ると、そのコンセプトは一目瞭然。いわば、カレー屋のファースト・フードである。メインのメニューは四つ。「ベジタブルカレー」「チキンカレー」「キーマカレー」「チキンスープカレー」。それぞれ、サフランライスとのセットになっている。スープカレー以外は、ライスとカレーの量によって、ミディアム、レギュラー、キングの3サイズが選べる。一番安いのは、チキンカレーのミディアム 380円。高いのがスープカレーの600円で、値段は「タージ・マハール」本店と異なり、非常にリーズナブルである。あと、キッズセット(400円)なるものもある。サイドメニューが6種、ドリンク5種。 インドカレー店で、一番はずす可能性の低い、「キーマカレー」を選ぶ。メニューにも、「ナマス亭いちおしカレーです」と書かれているし。 注文すると1分もしないうちに、まずサフランライスが運ばれてきた。そして、2分もしないうちにカレーが運ばれてきた。この早さは、非常によい。 量は「キング」にしたものの、そんなに多い量ではない。普通の店の中盛くらいだろうか。成人男性の場合、空腹時は迷わず「キング」でいいだろう。 さて、問題は味である。キーマカレーにしては、ゆるい。スープの中に挽肉を入れたような感じ。普通のキーマカレーというのは、こんなに水っぽくないはずだが・・・。また、挽肉の性状がおかしい。キーマカレーというのは、挽肉を炒めて作る。挽肉に油とともにスパイスが吸収されて、挽肉に味が凝縮するのだが、どうも違う。挽肉に油もスパイスも吸収されておらず、炒められた形跡がない。むしろ、挽肉は茹でたような状態になっている。スープ状のカレーに後から挽肉を投入したように思えてしょうがない。もし、そうでないとすると、通常のキーマカレーのレシピと比べて、かなり簡易レシピで作っているのだろう。メニューの写真に載っているキーマカレーは、水っぽくないスタンダードなキーマカレーなのだが、それとは明らかに異なる。 辛さ設定もなく、スパイスは誰でも食べられるよう極めて弱い。まずいわけではないが、カレー好きにとっては、かなりものたりない。というか、カレー好きの人ではなく、インドカレーなんて食べたことのないような普通の人や、子供連れの家族などをターゲットとしているようなので、あまり責めてもしょうがないか・・・。 サフランライスは、メニューに「日本人向けにアレンジしたとても食べやすいサフランライス」ですと書かれているが、食べやすすぎて物足りない気も・・・。やっぱり、コンセプトはインド料理入門の家族向けのお店という感じだ。 卓上に、ビンダルー・ペースト(赤唐辛子等の香辛料に酢を加えたインドの調味料)がのっている。それで、辛さを調整しろということらしい。自分の好みに調整していたら、一ビンの2/3以上は入れてしまった。しかしながら、これで深みのある辛さが出て、かなりおいしくなった。やっぱり、インドカレーはある程度の辛さがないと、おいしくない。ここまで、辛くするとようやく、サフランライスとの相性も良くなって、サフランライスのサッパリ感がありがたくなってくる。あっとうまに、残りのサフランライスを食べつくした。 |
店に入ってから、カレーを食べ終わるまでの所要時間、実に8分。これだけ短時間に済ませられる店も、なかなかない。とりあえず、スタンドカレーの3条件のうち、「早い」と「安い」は、実現している。あと、深夜1時まで営業は、一部の人にはかなりありがたいかも・・・。 サービス面で良いと思ったのは、あらかじめ電話でテイクアウトの予約ができるこことだ。ピザ屋とかでは、当然やってるけどね。 今まで一度もインドカレーの食べたことのない人、子供連れの家族、辛いカレーが全く食べられない人、とにかく急いでいるけどコンビニ弁当は嫌だという人、深夜0時を回ってカレーを食べたいという中毒症状が出る人。そんな人にお勧めしますが、カレー好きはわざわざ行くことはないでしょう。 |
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メニューには、「ナマス亭1号店」と書かれているので、この店が成功すれば、2号店、3号店と展開していまのかもしれない。さて、最近は「リトルスプーン」が異常増殖していたり、「CoCo壱」もいたるところにあったりする。カレー人口、外でカレーを食べる人、あるいは外でカレーを食べる回数というのが、増えてきているんでしょうね。 このカレーを他の普通のカレー店と比較するのは酷である。もし、「ナマス亭」と「リトルスプーン」と「CoCo壱」が3軒並んでいて、そのうちの一軒に入るとしたらどれに入るだろうか・・・。 「ナマス亭」で初めてインド・カレーを食べた子供が、将来スープ・カレー好きにならないとも限らないわけで、そうした札幌のカレー人口の拡大という視点から、頑張ってほしい気もする。 (2003年4月16日) |
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