樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
2004年7月閉店 スパイス厨房 花車 札幌市東区北41条東15丁目 |
スープ野菜 3辛 650円 |
まず、場所は東15丁目の大きな通に面していてわかりやすい。また、地下鉄東豊線栄町駅から徒歩1分と非常に近い。 店を訪れて気付いた。「スパイス厨房」という看板以外に、「花車」という看板もある。なんと、琴似に本店がある「花車」チェーンだったのだ。少しガッカリするが、しかし「花車」チェーンは、チェーンではあるが、店によっておいているメニューも違い、その店ごとに個性を出している。 カレーは三種類ある。スリランカ風トマト仕立ての「スープカレー」、たっぷり挽肉の「インドカレー」、あまくちルータイプの「欧風マイルドカレー」である。 辛さは、1から10段階まであり、1はやや甘口、2は中から、3は辛口、4は激からになっている。スープ野菜の3辛を注文する。 土曜日だったが、ランチタイムをやっていた。通常より100円ほど安い。 |
味はいまいちだ。「トマトの酸味」「スープのうまみ」「塩加減」「スパイスのパンチ」それぞれの要素は、それなりにいい。それぞれ80点くらいつけてもいいかもしれない。どれも突出させないで、調和した味わいを目指しているのだろう。しかし、逆に言うと自己主張が非常に弱い。どれかの要素が突出しないように遠慮してしまっている。結果として、非常に自己主張の弱い60点くらいのカレーになってしまっている。一ヶ月もすれば忘れてしまいそうな味である。 |
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なぜ、もっと冒険をしないのか。三種類もカレーをそろえ、マイルドなルーカレーもおいているのだから、スープカレーはもっとパンチのある力強い味にしてもいいと思う。パンチのあるカレーほ食べたい人はスープ。マイルド嗜好の人はルーと。しとかし、このカレーもマイルドにうまみを追求し、それが中途半端に終わっているのだ。万人受けするカレーは、決して万人には受けない。潰れていった多くのカレー店がそれを証明しているにもかかわらず、それに気付いていない店が多い。 辛さの3辛という選択は明らかに間違った。私の舌では全く辛くないというか、むしろ甘いくらいである。しかし、これはメニューの記載ま方に責任がある。3番の「辛口」で、これより一つ上が「激辛」とは、どうみてもおかしい。この3番の辛さは「中辛」かそれ以下の辛さである。 辛さの設定、あるいはこの店の味の設計自体にいえるが、専門店のカレー屋というのを目指していないのだろう。コンセプト的には「近所のカレー屋」という感じで、喫茶店に行く雰囲気で、ちょっとカレーを食べに行くという気楽さを狙っている。その気楽さが、ランチタイムで650円というお気楽な値段設定にも反映されている。深夜0時までやっているというのは、非常にうれしいし珍しいが、多くの人に気軽に利用して欲しいという姿勢の現れであろう。このコンセプトはこの店のみならず、花車チェーンの他の店にも言えると思う。 そうした意味で近所の人に愛されるべきカレー屋として「スパイス厨房」は存在価値はあるかもしれないが、街中から片道20分をかけてわざわざ食べに行くカレーではないことは事実だ。 (2001年9月8日) |
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