激辛カレー批評
[スープカレー ホーム]



エス

札幌市北区北38条西2丁目
石狩街道沿い(北方面左側)

011―727―9755

es_curry.jpg (18689 バイト)
スープカレー ベジタブル
44マグナム

 カレー屋めぐりをしていて、素晴らしいカレーにめぐり会った時の感動は、言葉にできないものがあるが、そう滅多にお目にかかれるものではない。近年、エスニック・ブームもあり、毎月1軒以上ものカレー屋がオープンしている。それを逐一フォローするのは困難だが、大抵は並の味でしかない。しかし、この『エス』のカレーには、感動をおぼえた。

 店の場所は、石狩街道沿いで、黄色と緑のレゲエ・カラーの巨大な看板が立っているので、見逃して通り過ぎることはないだろう。駐車スペースも十分ある。
 店内は、五人がけの大きなテーブルが五卓ほどあり、小奇麗である。そして、看板のレゲエカラーが象徴するように、レゲエがかかって独特の雰囲気を作り出している。

 私の注文は、「野菜カレー、44マグナム」である。メニューは三種類しかない。いつものようにも野菜カレーを選ぶ。辛さは、なんと11段階ある。店主の趣味らしく、拳銃や爆弾の名前が、辛さに対応している。「パトリオット」、「ICBM」といった激辛を注文したい衝動にかられるが、マグナム完食者でなければ注文できないという但し書きにしたがって、「44マグナム」にした。いつものように、「スープ大盛り」にしたかったが、隣の客が食べているスープの多さを見て、それは止めにした。洗面器のような巨大な皿にスープと具が大量に盛られているのが目に入ったからである。隣の客が食べていたのは、スープ大盛りではないばずた。

 すぐに、私にもカレーが運ばれてくる。洗面器のような大きさの皿に、特大の具とスープが大量に入っている。普通の店の「スープ大盛り」の量は、間違いなくある。そして、その透き通ったスープを見て、私の研ぎ澄まされたカレー感覚が、ピカリと光った。このスープは、見ただけで十分においしことは、歴然としていた。『マジック・スパイス』を彷彿とさせる透明スープ。一口、スープを口に含む。うまさと、辛さが口内で爆発する。辛さは「中辛」に相当する「マグナム」だったが、十分な辛さがあった。スープはややしょっぱいが、癖がなく、スイスイと飲み進む。
 そして驚くべきは、具の大きさである。上の写真からは、その大きさは伝わらないが、ニンジン二本、ジャガイモ1個、ピーマン1個、ナスは1本分が使われている。特に絶品は、ナスである。ジューシーな旨みが詰まったナスが、口の中でとろける。それが二本もついているのだから、超贅沢である。
 全体的にニンジンの量が多い気もするが、ニンジン嫌いではない私にとっては、別に苦にならない。
 そして、卵も泣かせる。これは、煮卵だ。白身の表面4ミリほどに黄色くスパイスが染み込んでいる。スパイス煮卵である。 
 それにしても、凄いボリュームである。つくづく、「スープ大盛り」にしなくてよかったと思う。
 スープの口当たりは、酸味が少しあって、『マジスパ』の味に、かなり似ている。スープを飲んだ後の、口の余韻も『マジスパ』に共通するものがあり、スパイスの配合も似ているのだろう。ただし、『マジスパ』よりも辛さがストレートと爆発する感じがある。後半は、汗だくになってたことが、辛さの強さを示している。
 やや上品な『マジスパ』のカレーとは、野性味という意味で、似て異なるものとなっている。そして、その完成度は極めて高い。

 唯一、不満があるとすれば、スープややしょっぱいということである。野菜にも味がしみているし、スープの旨みも、スパイスの辛さも十分あるので、塩をほんの少し減らしてもよいだろう。

 私は間違いなく『エス』の虜になる。まだ、『エス』はオープンしたばかりで、知命度は高くないが、大ブレークする日も近い。
 立地条件が非常に良い。高速の「札幌北インター」からすぐである。私は小樽方面に出張のさいは、「雁木インター」で乗り降りするのだが、今後は「札幌北インター」で降りる衝動にかられそうである。
 タンドリーチキンの入った、チキン・カレーを近日中に食べてみたいものだ。そして、辛さは「パトリオット」にグレード・アップしよう。

(2000年10月8日)
es_rice.jpg (19716 バイト)

es_paper.jpg (37506 バイト)

es_shop2.jpg (15128 バイト)
 黄色と緑のレゲエ・カラーの巨大な看板 石狩街道を走っていて、見逃すことはないだろう。

チキンベジタブル(パトリオット)
 どうしても『エス』のカレーを食べたいという衝動にかられ、一週間後に再び訪れる。
 「44マグナム」の次は「パトリオット」だ。そして今度は、「チキンベジタブル」だ。さらに、トッピングメニューから、ロールキャベツを追加してみる。
 赤い。スープが。前回『エス』のスープは透明であると書いたが、それは「44マグナム」までの話だったようだ。今回は、皿の底は全く見えない。真っ赤である。一瞬、「食べれるかな」と思うが、思ったほどの辛さはない。スープの色彩的には、「44マグナム」と「パトリオット」は、やはりい連続している。
 チキンは、タントリーチキンだ。表面にスパイスがしみて、パリッと硬く、香ばしく焼きあがっている。スープカレーのチキンと言えば、圧力釜にかけたトロトロのチキンが想像される。実際、ほとんどの店で、トロトロチキンを提供している。そうした点から考えると、エスのチキンは意外である。ナイフがないと切れないが、独特の歯ごたえと風味が合って、楽しめる。
 野菜は、ジャガイモ、ニンジン、タマゴ、ピーマン、ナスと入っている。ジャガイモとピーマンが、「ベジタブルカレー」と比べて、少し量が少ないだけで、ほとんど「ベジタブルカレー」と同じで
es_curry.2jpg.jpg (22303 バイト)
チキンベジタブル、ロールキャベツ
入り(パトリオット)


  es_card1.jpg (15579 バイト)
  「パドリオット」完食のカード
ある。にもかかわらず、100円しか変わらないということは、「チキンベジタブル」は凄くお得であることに気が付いた。
 試しにトッピングしてみた、「ロールキャベツ」だが、思ったよりかなり硬かった。肉の入りかたも少ない。少し残念である。基本的に『エス』のコンセプトが、歯ごたえとか食感を重視していることは分かったが、「ロールキャベツ」はもっとやわらかい方が美味しいと思う。
 「パトリオット」は私にとってはほどよい辛さで、楽しくたいらげることができた。
 会計すると、「パトリオット」完食のカードをくれた。たいしたカードではないが、何となくうれしい。次は、「トマホーク」に挑戦したいという気持ちになる。

 (2000年10月15日)
 『エス』でおいしいのは、スープカレーだけではなく、パキスタンカレーもかなりおいしいという噂を小耳にはさんだ。スープカケーよりも、パキスタンカレーの方が人気があるとも聞いた。このスープカレーを上回るうまさとは。一体どれほどおいしいのだろうか。
 パキスタンカレーのチキンベジタブル、辛さは「347マグナム」を選ぶ。パキスタンカレーは、スープカレーと異なり、「パトリオット」とか「ICBM」とか超辛いのはない。「347マグナム」は上から二番目の辛さになる。
es_curry.3jpg.jpg (19019 バイト)
パキスタンカレー チキンベジタブル 347マグナム
 一口、ルーを味わう。うまい。思わず、ライスを食べたくなる。ライスにルーをかけていただくが、ライスが進む。進む。きざんだタマネギを炒めて作られたカレーだが、インドカレーと違うのは、タマネギが目に見えるサイズほどの大粒に切られていることである。そして、このタマネギの炒め具合が絶妙である。炒めすぎるとしんなりとなり甘味が出る。甘いタマネギももちろんあいしいが、タマネギの辛味とサクッとした歯ごたえが絶妙に残っている。これ以上炒めると、炒めすぎになってしまうギリギリ一歩手前というかんじ。ルー自体はあまり辛くないがタマネギが、スパイスや唐辛子の辛味をすいこんで、ほどよく辛くなっている。
 そして、ほどよくルーが甘い。甘さと辛さの絶妙なバランス。この甘さのせいで、ライスを食べたいという強い衝動にかられる。ライスとのバランスが最高。そして、ライスなしでは、ルーも引き立たないのがこのパキスタンカレーだ。ライスなしでも成立しうるスープカレーとは大きく異なる。
 具はスープカレーのチキンベジタブルと全く同じである。チキンは香ばしくローストされている。スープにつかってないぶん、香ばしさが引き立つ。相変わらずのボリュームと食感。スープと違って、透明でないので、どこに具が隠されているのか、と一瞬不安になるが、ルーの下に隠れていたのは、タンドリーチキンだけで、それ以外の具は、上半分に見えるように配列されていた。ジューシーなナスは最高である。しかし、ナスはスープをすいこんで余計おいしさを増すということが、これを食べて再確認される。煮玉子状態になったタマゴもおいしい。
 一つ失敗したのは、ライスを大盛りにすべきことであった。ライスが進みすぎてしまい、最後に具とルーが残りすぎてしまった。今後は、注意したい。
 食べ終わり、じんわりと汗が滲む。「347マグナム」は私には丁度よい辛さであった。パキスタンカレーは、甘さと辛さのバランスの上に成立しているので、あまり辛くしない方が、楽しめるだろう。すなわち、「パトリオット」や「ICBM」の激辛がないのは全く道理にかなっている。
 これで1000円は絶対に安い。『エス』のカレーは、毎日食べたい。
 パキスタンカレーの感激もあり、評価の星の数を4から4・1/2に格上げすることにした。
(2000年12月19日)
再食 イカスミ (パトリオット)
 久しぶりに、『エス』に行った。今回は、イカスミ(1000円)を食べた。「チキンベジタブル」にしようか悩んだが、結局食べたことのないメニューにした。
 しかし、私の悪い予感は的中してしまった。「チキンベジタブル」というのが、ある種の完璧なまでの味のバランスがあるわけで、それにイカスミを加えたら、バランスを壊すことはあっても、それ以上においしくなるということはないだろうという予想をしたのだ。結果は、全くその通りだった。「究極の辛さを楽しむ」という楽しみ方をする場合、イカスミのマイルド感は邪魔者以外の何者でもない。
 辛いのが苦手な人が、低い辛さで食べた場合、それなりのおいしさが出てくるだろうが、パトリオットの辛さと、このイスカミのマイルドさは全く相い入れない。

es_curry_ikasumi.jpg (19252 bytes)イカスミ パトリオット

 「イカスミ」という選択ははずしたもの、スープのうまさ、辛さのパンチは大いに楽しめる。しかし、残念なのは、盛り付けが完全に変わってしまったこと。まず、皿が変わってしまった。フチのない深皿。これは札幌のスープカレー店では非常にオーソドックスな皿なのだが、私は昔の大きなフチつきの大皿が大好きだった。というか、その食べやすさにおいて、札幌スープカレー店で最も好きだったのに、なぜ変えてしまったのか? 案の定、具が重なり合ってしまって、チキンもほぐしずらいし、前よりかなり食べづらくなっている。
 それに最も衝撃を受けたのが、具の大きさと調理が全く変わってしまったこと。大きなチキン、食べ応えのあるジャガイモやニンジン。いずれも、かなり小さなものになっている。チキンについては、上記の記事でパリットした香ばしさについて絶賛したが、それは今回は全く存在していなかった。野菜も火が通り過ぎで、ぐしゃっとした感じ。以前の野菜のおいしさは、全くない。
 全体にスープの量も大幅減。以前は、超満腹感を味わえたが、これではスープ大盛りにしないと腹が減る。
 以前読者から、「エス」は量が少ないというメールをもらって、「おかしいなあ」と思っていたのだが、その理由がよくわかった。この量なら明らかに少ない。
 ということで、前回食べたときよりも、かなりのグレード・ダウンは明白である。このカレーに、もはや「★★★★1/2」を与えることはできない。
 厳しい批評を書いてしまったが、以前の皿と具の調理法に是非戻して欲しい ! ! 
 樺沢の心からの叫びである。  (2002年7月)
 
営業時間 11:00〜21:30(ラストオーダー)
定休日  不定
駐車場  7台くらい
席数  25席くらい
ランチタイム 11:00〜14:30 100円off
種類  スープカレー、パキスタンカレー
その他  
メニュー、値段 ベジタブカレー 900円
チキンベジタブルカレー 1000円

ライス・スープ大盛り150円増
es_shop.jpg (16794 バイト)
 
 黄色い外壁は絶対に目立つ。
 駐車スペースも十分にある。
es_card.2jpg.jpg (21526 バイト)

es_card3.jpg (29378 バイト)
 スタンプ10個への道のりは遠いなあ。
[ホームに戻る]