樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評
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追加 ありがちぐらんスペシャル
 別メニュー「ありがちぐらんスペシャル」(850円)をいただく。運ばれて来た瞬間に、「ありがち」の意味が良くわかった。トマトの入った赤いスープにバジルを散らしているという札幌スープカレーの一つのありがちなパターン。具体的に店の名前を挙げれば、『らっきょ』『心』『ラビラビ』『南家』『クミン』である。
 一口食べたとたんに思う。「しまった・・・」と。どうみても、しょっぱい。普通、しょっぱめのスープカレーでも、最初の一口、二口はそれほどでもなく味わえるのだが、この味付けは結構きつい。

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ありがちぐらんスペシャル
850円

 『華麗なる食卓』のBBSで、『一灯庵』『ぐらん亭』 はしょっぱいという話がでていた。「オリチキぐらんスペシャル」は全く適切な塩加減で「しょっぱいとはどういうことか?」と思っていたら、この「ありがち」を食べて他の人の感想がよく分かった。通常しょっぱい場合は、ライスと一緒に食べて調整できるのだが、ライスをスープに投入し、スープをかなり希釈しても、まだしょっぱい。
 単にしょっぱいだけでなく、スープ表面に浮かぶ油膜もかなりのものである。「オリチキ」の芸術的なコンセプトと比べて、一体どういうコンセプトなのか理解に苦しむ。スープ自体は非常においしいわけだが、そのおいしさを塩と油が妨害してしまい、スープの良さを殺してしまっている。トマトの酸味やスープの甘さもあるはずだが、舌がそこまで到達できない。
 具の組み合わせと、具に一仕事してあるのは、「オリチキ」と同様であり素晴らしい。チーズ入りの芋もちは、口の中でとろける。トッピングできるのなら、もう一個欲しいくらいだ。温泉玉子の半熟の具合も絶妙。ジューシーなナスの柔らかさも良い。しかし、その秀逸な具たちを、塩と油が邪魔している。
 「この店では、どのメニューがおいしいの?」「うちの店のメニューはどれもおいしいよ」よくありがちな、一般的な会話である。しかし、「どのメニューもおいしい」ということは、ありえない。「ありえない」と断定するのは失礼だが、私が今まで訪れた飲食店の中で、全てのメニューが、全ておいしいという経験はしたことがない。
 したがって、「オリチキ」が芸術的においしかったとするなら、むしろ他のメニューは芸術的においしいとまではいかない、というのが常識的な予想なのである。したがって、この結果も十分に予想の範疇・・・。
 『一灯庵』と『ぐらん亭』は、微妙なスープのうまさを魅力としているので、スープの良さを十分引き出すようなカレーを食べるのが、一番いいだろう。残念ながら、「ありがち」はそうではないということだ。
 濃い味、油っぽい味が好きな人もいるので、このメニューを否定するわけではないが、これを普通に評価するれば★3.2くらいだろうか・・・。もちろん、まずいわけではないが、「オリチキ」のレベルの高さと比べると随分と見劣りがすると言わざるを得ない。                               (2003年4月10日)

 『ぐらん洞』の「ありがち」系メニューが、「しばらくお休みします」になっていました。素早い対応に驚きました。改良を加えて、微妙なスープのうまさを生かしたトマト系カレーとして戻ってくることを期待します。           (2003年4月15日)
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