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激辛カレー批評 |
ピカンティ 札幌市北区北13条西3丁目 |
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久しぶりに、再訪してみた。 新メニュー「開闢」をたのむ。具は「キノコ野菜」、辛さはちょっと辛めで「3番」にした。 スープのうまさ、辛さのパンチ、どちらも十分である。「五千年の旅」や「YAKUZEN」よりも若干アッサリした感じ。コッテリ派には物足りないが、脂っぽいスープの苦手な人には、こちらの方が良い。私は後者の方。「開闢」り方が好みである。スープのうまみとパンチのあるスープのバラン感が絶妙。力強い味だ。 他のスープと同様に野菜はうまい。「開闢」の特徴は、具がおもしろいこと。ズッキーニとアホカドが入っている。そして、ナス。小さいタマネギが可愛らしい。そして、同じ大きさ、同じ外観で一個だけウズラの玉子になっているところが遊び心があっていい。 他のスープのニンジンと違って、ニンジンが薄切りになっている。すなわち、ジャガイモやニンジンがゴロンと入っているという従来のスープカレーの具と大きく異なり、ナスやズッキーニなどのスープを吸収する柔らかい具を多用しているというコンセプトがおもしろい。確か『voyage』の「曼荼羅」にもズッキーニとアボカドが入っていたはずだが、その進化系ということなのだろう。 コッテリスープにはサッパリとした具。サッパリスープにはコッテリとした肉系の具というセレクトが、よりおいしくスープカレーを食べる法則と私は信じている。「開闢」はどちらかというサッパリ系なので、後半になるとちょっとコッテリ感も欲しくなってくる。ということで、「チキン」か「ポーク」の肉系の具が入っていたほうが、最後まで舌が飽きずに食べれたかなという気もした。 「3番」の辛さは、なかなか辛い。裏技であるが、ピッキーヌをスプーンでづぶしながら食べると、さらに辛さを楽しめるぞ。後半は、汗だくになった。本格的激辛カレーを堪能した。 味、ボリューム、値段いずれも満足である。 ただし、それだけにかなりの人気。待ち時間はかなり長めなので、時間に余裕を持って行くべし。 (2002年10月14日) |
アーユルベーダ YAKUZEN 場所が少しわかりずらかったが、北13条の北12条に面した北向きのマンションの一階にある。駐車スペースのせいか、すこし引っ込んでいるので、遠くから看板が見えない。 昼時ということもあり、店内はかなりの賑わいをみせていた。常連客で賑わっているのかと思いきや、辛さについて店員に聞いている人が何組かいて、必ずしも常連客というわけではなさそうである。 この時は、二種類のカレーしかなかった。オーソドックスな方、「アーユルベーダ薬膳」を選ぶ。 辛さは、「序章」「知覚の扉」「幻影」「無量」「アガリ」の五段階である。初めての店では、一番辛いやつの一つ下をたのむことにしているので、今回は「無量」を注文する。 |
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他の客のカレーをちらりとのぞくと、透明系のスープカレーということで、『マジック・スパイス』『エス』の味を思い浮かべ、期待は大きく膨らむ。しかし、私のところに運ばれてきたカレーは透明ではなく、真っ赤だった。辛さの低いカレーは、透明に近い色のスープだが、辛さが強まると大量の唐辛子が入っているようで、真っ赤なスープに変化するのだ。それは単に赤いというだけでなく、こってりとした赤さ。坦々麺に近い色彩と濃度である。表面に浮かぶラー油状態となった真っ赤なスープ。表面に浮くゴマの風味が、いやでも食欲をそそる。 うまい。これはいける。こくがある。『ピカンティ』のYAKUZENカレーを一言で言えば「こく」ということになる。さらりとしたスープの奥にこくがあるのだ。このスープに麺を入れて食べてもおいしいかもしれない。 ライスはサフラン・ライスである。丁度よい量だ。 具も大きく、スープのボリュームに負けない。チキン、ニンジン、ダイコン、ナス、フライドポテト、ピーマンが入っている。卓上には、スプーンとフォークしかのっていない。ナイフがない。これは、ナイフなしでも、スプーンで切れるほど具がやわらかいですよ、というサインであろう。案の定、チキンはトロトロである。油ののった皮の部分が特においしい。しかし、ニンジンはやや硬めで、スプーンだけで切ろうとすると、少し苦労した。ダイコンという具は、最近では珍しくなくなったが、コンピネーションとしておもしろい。しかし、このダイコンも少し硬いような気がする。おでん屋のダイコンくらいのやわらさがいいのだ。そして、ニンジンとダイコンは、もう少し野菜の甘味が引き出されていたほうがよかった。 そして、ナス。ナスなしには、カレーは成立しない。というほどに私のこだわりの具材の一つだが、このナスも硬い。もっとやわらかく、しないとスープを吸い込んだジューシーナスにならない。これは、いかん。野菜をもっと圧力釜でやわらかく煮込んでもいいのではないか。 イモは、フライドポテトになっているのは、ちょっとおもしろいと思った。私は、だいのフライドポテト好きなので非常にうれしかった。 それと、具と言えるかどうかはわからないが、カレーを食べ終わると、皿の底には20本近くの赤唐辛子が沈んでいた。こんなにもたくさんの唐辛子が入っていたとは、驚きである。 そして、カレーが後半にさしかかると、額からは大量の汗が。カプサイシンの威力か。これほど汗がでるカレーも珍しい。「無量」という辛さは、私にとっては丁度良かった。各段階の辛さは、単に唐辛子の量が違うのではなく、唐辛子やスパイスなどの種類も変えて、それぞれの辛さと味わいを作り出しているという。それが、この「こく」につながっているのか。 しかし、スープに関して唯一不満があるとすれば、少ししょっぱいということだろう。特に、後半になると、しょっぱさが気になる。若干、塩分を控えてもよいかもしれない。塩分を控えることで、辛味とスパイスの刺激が、より直接的に舌に伝わって、味わい深いカレーができると思う。 |
店内の雰囲気もよく、味の完成度も高い。「無量」の辛さだと、200円追加になるが、もともとの料金は850円であり、この量と具の大さを考えれば、安いと思う。 夜24時までやっていて、年中無休というのもうれしい。仕事が遅く終わったときでも、スープカレーが食べれるという保証があることは、カレー中毒者にとって、大変ありがたいことである。 (2000年12月10日) |
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