樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
スープカリー 木多郎
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移転後 初再食 2003年2月に新店舗に移転した。移転後初の訪問となる。場所は生協の隣。生協の駐車場からも目立つ。この地区としては非常に良い立地だろう。 店は「吉野屋」や「みよしの」のような作り。厨房からほとんどの席の客を見通すことができ、中央に店員が通る道(スペース)がある。店主自ら混雑具合を判断したり、常連客に声をかけたりできるというメリットがある。ただ「吉野屋」に良く行く人にとっては気にならないのかもしれないが、他の客が食べている様子が丸見えで、また自分の食べているのも見られていると思うとあまり落ち着かない。窓が大きく日当たりが良く、広々とした印象を与える。しかし、これも同様に、外から丸見えであまり落ち家内。ゆっくりと食べたいという人は、この辺は気になるかもしれない。 注文は「チキン野菜」の辛さ3番にした。スープは以前よりもトマトの風味が弱い。トマトの酸味は、言われなければわからない程度。どちらが良いのかは、好みによるだろう。スープ自体が少しサラッとした感じはするが、うまみは健在である。 野菜に関しては以前より大ぶりで見栄えも良い。野菜自体のうまみもアップしているような・・・。特に、ナスの火加減が良く、歯ごたえとうまみ、うまみが丁度良い。そして、ニンジンの甘さは特筆するものがある。ホウレン草が菜の花に変わっている。個人的にはホウレン草の方が好きだった。 3番の辛さは、適度にスパイシーで丁度良かった。前回食べた3番葉、今日のより辛かった。 昼食時間ということもあり結構込んでいたが、待ち時間はさほど長くなかった。 個人的にはスープの量はもう少し欲しいところだが、野菜のボリュームはあり満腹感はある。 (2004年4月5日) |
再食 マイタケ 久しぶりに再食。「他店はマメに再食しているのに、うちにはなかなか来ない」と痛いところを店長につかれた。別に「木多郎」のカレーが嫌いなわけではないが、澄川というロケーションがネックなのだろう。何かのついでにとか、どっか行った途中にというロケーションではない、ということで、ついつい足が遠のいてしまった。 |
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ラッキーなことに、この日から「マイタケ」が始まった。「マイタケ」は秋の人気メニューで、マイタケが入荷しても、すぐに売り切れてしまうという。愛別産のこの舞茸はスーパーでは売ってない特注品。調理前の舞茸を見せてもらうが、巨大でかつ肉厚。通常の舞茸の3倍くらいの大きさ、厚さがあった。 さてカレーができる。まず、香りが良い。3番を食べたが、かなりスパイシーである。店長にたずねてみると、以前よりスパイスは強めにしたという。トマトの甘みと酸味が、ライスと合う。 そして、舞茸。なんという肉厚な舞茸だ。「いつも食べているのと全く違う」と、「どっちの料理ショー」のセリフを言ってしまうが、まさに「本日の特選素材」という感じ。味、風味、食感ともに、いつもの舞茸の倍くらいの強さに感じられる。 エッグの火の通り具合が絶妙。半熟ではないが、フワフワ。スープに溶け出さない限界のやわらかさという感じ。 ライスは大盛で頼んでかなりのボリュームがあったが、ライス普通盛も昔より増やしたそうだ。札幌でライスと最も相性のよいスープカレーと言っていいだろう。 ということで、満足した一皿を味わった。 (2003年10月20日) |
13年前にオープンしたスープカレーの老舗である。 当ホームページの投票では、1位の得票率が100%(全2票ではあるが)という結果となった。すなわち、一部のカレーファンの熱烈な支持を集める店といえるだろう。 今回は、「チキン野菜カレー」をいただく。 辛さは、0番から5番まであり、2番が「木多郎の中辛」というメニューの記載がある。「木多郎の」という形容詞がよくわかる。辛さには個人差が大きいので、「木多郎の」というエキュスキューズを入れているわけだ。「木多郎」は、うまみ系カレーであるので、あまり辛くしない方がいいと思うので、私は自分としてはかなり控えめな「2番」を選んだ。 |
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とろりとしたスープがうまい。絶品である。うまみ系カレーの王道という感じだ。最近いろいろなカレー店を回って、改めて「木多郎」を食べると札幌のうまみ系カレーの源流なのだなあ、という感慨につつまれる。例えば「リーブス」のカレーは、かなり似た雰囲気であるし、トマトのとろりとしたうまみという使い方では「スパイス・ベリー」と似ている。 とろりとしたうまみ。それは、トマトの使い方のうまさなのだ。しかし、トマト使いの難しさは、酸味のコントロールにある。トマトの酸味が強まるとすこしクセになる場合があるが、その酸味が見事に抑制され、野菜の甘味が中心となったまろやかな味わいになっている。 具は、ちょっと手が加えられていて楽しい。キチンはチキンの硬さ、すなわち歯ごたえが十分に残っていて、硬すぎず柔らかすぎず丁度良い感じ。ナスは私の大好きなジューシーナスに仕上がっている。バターで炒められたホウレン草は非常においしい。 ホールトマトが二個入っている。このホールトマトというのは、酸味が強いので取り扱いに注意を要する代物だが、ホールトマトの酸味がスープに移るということもない。 おいしいスープとおいしい具、うまみ系カレーの完成された一皿である。 ただどうしても、ライスとスープの少なさが、満腹感につながらないだけに、満足感という点に若干欠ける。ライスお替りや大盛りが無料という店が出てきている中、基本的なサービスという点で残念である。「たくさん食べたければ大盛りを頼め」という反論もあるが、問題なのはライスの絶対値ではなく、最初に出すスープとライスの割合、バランスなのである。そういう意味で言うと、ライスがはかどるスープに対して、少ないライスというのは致命的な感じがする。 うまみ系カレーのおいしい店というのは何軒もあるが、何度も通っている店は私の場合は一軒もない。こうなると、あとは好みと立地条件が重要になってくるということか。「木多郎」のカレーは、おいしいという点に関しては、非常においしいカレーである。澄川という立地があまりよくなく、このカレーを食べるために往復の移動時間に4、50分をかけてまで食べたいかというと、後は好みの問題ということになろうか。 (2001年7月27日) |
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