樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
マジック・スパイス |
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マジスパのカレーは芸術的としか言い様がない。外観、味、辛さ、全てにおいて、研ぎ澄まされた完成度を持つ。 まず、外観。スパイスの黒と揚げ春雨の白の見事なコントラスト。白という普通のカレーでは見当たらない色彩が強烈であると同時に、揚げ春雨の香ばしさが、高まりつつある食欲を一気に頂点にまで引き上げる。 本日のメニューは、ベジタブル・カレー。辛さは虚空である。一口、スープを口に入れる。この味わい。飲み口の良さ。絶妙の辛さ。完璧なハーモニーである。 しかし、この虚空という辛さは、絶妙である。7段階ある辛さの中で、最も辛いのが虚空なのだが、バカげた辛さではない。私的には、丁度良い辛さなのである。ちなみに、私の「良い辛さ」の定義は、最後まで水を一滴を飲まずにカレーをいただける辛さである。そして、この辛さが絶妙というのは、この辛さを超えると、スープの味わいが分からなくなってしまう。そのギリギリの辛さが、この虚空なのである。これ以上、少しでも辛いと、せっかくのスープのうまさが台無しになってしまう。その限界を把握して、この辛さを最大の辛さとして設定しているのか。とにかく、これしかないという辛さが、この虚空なのである。 ベジタブルには、キャベツ、エンドウ、じゃがいも、インゲンなどが、細切れで入っている。この細切れで入っているというのが、凄い。なぜ、凄いのかというと、非常に食べやすいのである。結局、フォークやナイフを使わずに、最後までスプーンだけでいただけた。『サボイ』のページに詳しく書いたが、カレーの重要なファクターとして、「食べやすさ」というのがある。多くの人は、あまり意識しないが、「虚空」クラスの辛さを、集中して堪能するためには、カレーの皿、ライスの皿、口の三箇所意外にスプーンを運ぶのは、大きな邪念となる。ただ、ひたすらスープのあじわいに集中したい。そのために、食べやすさは、非常に重要なのであるその意味で、マジスパのベジタブル・カレーの野菜の刻み具合は絶妙である。ただし、この刻み具合は、ライスと絡めた時に、最も食べやすさが発揮される。スープから直接口に運んだ場合は、若干食べずらくなるので、注意を要する。すなわち、ベジタブルを食べる時はライスと一緒に。そしてスープ皿から直接いただくときは、具が入らないように、スープだけをすくったほうが、しっくり来るのである。 マジスパの魅力の一つは、多彩なトッピングにある。しかし、シンプルさ追求しひたすらカレーを味わいたい、という私の独自のカレー哲学により、シンプルなオーダーにしてしまうことが多いが、その辺は個人の趣味で、いろいろとトッピングを楽しむべきだ。私的には、あまりにもスープが美味しすぎるので、トッピングに注意を払う余裕すらないという感じである。 食べている最中は全く感じなかったが、食べ終わり外に出るとじんわりと汗がにじむ。やはり、虚空だな。圧倒的な満足感に包まれながら、帰路へと向かう。 マジスパに関しては、ほとんど不満はない。値段はやや高めだが、この味を実現するためには、やむを得ない。ただ、虚空の辛さを選ぶのに、値段が230円もプラスされるのは、少し高いと思う。 もう一つ重要なのは、いつも混んでいるということだ。混んでいても良いのだが、駐車場がいつも満員なのが気になる。とはいっても、裏の駐車場を含めて8台以上の駐車スペースがあるわけだが、ほとんど私が訪れる時はいつも満員である。路駐して周辺住民に迷惑をかけるのも気がひけるので、あえなく退散する。はっきりいって、私は南郷通りを通過するときは、条件反射的にマジ・スパに寄ってしまうのだが、駐車場が満員なので食べないで帰った回数の方が多いのだ。とはいっても、店が繁盛しているので、文句をいってもしょうがない。この味を、いつまで維持し続けることを、心から切望する。 (2000年7月19日) |
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サフランライスの黄色が、食欲をそそる。 |
レトルト 第2弾 『マジスパ』がレトルト・カレーの第2弾が、2003年5月から、「サンクス」にて発売中である。 これを『マジスパ』のカレーと言われると、かなり違和感はあるが、味的には第一弾バージョンより、格段に進歩している。 スープカレーを一度も食べたことのない札幌以外の人が、スープカレーの雰囲気だけでも味わいたい、という場合はその目的は十分達成されるだろう。 一口サイズのチキンが二個入っている。野菜も第一弾と比べると、大幅増量。ただし、使われている野菜の種類と調理法が全く異なるので、そこが一番『マジスパ』らしくない。 |
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レトルトという方法的な限界なのかもしれないが。 ただ、これが全国のサンクスに並ぶという事実は、「札幌スープカレーの宣伝」という意味では絶大な効果があるだろう。本州人では、「札幌スープカレー」を聞いたこともないという人は多い。また、今後の『マジスパ』の東京進出を考えると、その宣伝としての意味も大きいだろう。 (2003年6月7日) |
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レトルト・カレー発売
! ! 2001年11月14日から、全国のサンクスで、 『マジスパ』のレトルト・カレーが、一斉に発売された。これで、札幌以外の人も『マジ・スパ』のカレーを味わうチャンスが増えた。しかし。肝心な味の方はどうであろうか。 早速試食である。 辛味のスパイス・ミックスとペーストが一袋ずつ添付されている。自分で辛さを調整して食べるというしくみだ。まずは辛味を入れないでスープのみをいただく。なにか味がきりっとしない。間延びした、タマネギスープという感じ。市販のカレー粉でも入れたような感じで、スパイシーな味わいや、風味は皆無である。 あまりにつまらないので、辛味を全部加えて、再度味わうが、たいして変わらない。辛いタマネギ・スープという感じ。 |
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辛さ的には、結構辛いのだが、この辛さは『マジスパ』と全く違うではないか。『マジスパ』の辛さは、辛さを相当に辛くしても、後まで辛さが引かないスッキリとした辛さであるが、このレトルトの辛さは、。後まで辛さが引く。辛味スパイスの種類や配合が全く異なる。 具は、野菜とチキンが入っている。普通のレトルトと比べて、やや多めである。しかしその具も全くダメ。『マジスパ』のおいしさの重要な鍵は、シャッキリとした野菜にある。シャッキリとした野菜の歯ごたえが、スープの中でピカリと光る。しかし、このレトルトでは、やわらかな口当たり。明らかに、煮すぎである。刻まれたチキンはとろっとしているが、普通のレトルト・ルーカレーの具と何ら変わりがない。 |
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レトルトということで、あまり高くは期待していたわけではないが、この出来はひどすぎるのではないか? せめて雰囲気ぐらいは味わえるかと思ったが、それもほとんど伝わらない。このレトルトを食べて、本物を食べたいと思い札幌まで足を運ぶ人はまずいないだろう。このレトルトを出した意味は、味の普及というよりも、宣伝の要素が大きいのだろうが、これでは宣伝も逆効果なような気がする。 ラーメンなどでは、人気店の店名を冠したカップ・ラーメンが多数売られている。もちろん、本物と比べればレベルダウンは当然であるが、どんな味なのかを想像させるだけの雰囲気は残しているし、従来のカップラーメンと比べれば、結構おいしかったりする。 そうした、レトルト同士の比較というレベルにおいても、この『マジック・スパイス』のレトルトは、ひどいぞ。これでは、S&Bの「札幌で大人気 スープカレー」とたいして変わらないではないか。400円近い値段を考慮すると、とうてい納得できたものではない。 『マジ・スパ』の輝かしい歴史に、大きな汚点を残してしまったようだ。 敢えて食べる必要はないと思うが、どうしても食べたい人は、早晩、店頭からなくなることは確実なので、早めに食べておいた方が良いだろう。 この味を敢えて評価するなら★1/2くらいか。 (2001年11月17日) |
再食 モモ 有名店の再食を開始した。味の変化はないか、あるいはグレードアップしているかといったチェックである。 久しぶりに、『マジスパ』に行ってみる。 最近は新規オープン店ばかり追っかけていたので、なんと一年以上も行っていなかった。 混んでいるのは知っているから、早めにということで日曜の17時半に訪れたが、既に店内はほぼ満員状態であった。駐車場が満車であるのは、言うまでもない。メニューもほとんど、切れていて、「ビーフ」と「モモ」しかないという寂しさ。 |
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何かトッピングしようとも思ったが、「かき揚げ」などお目当てのトッピングもことごとく品切れになっていて、結局トッピングはなしとした。人気店であり、繁盛店なのでしょうがないのもわかるが、17時半という夕食前の時間帯にして、この品切れ状態は、ちょっとがっかりである。
注文は、「モモ」の天空とした。いつもは「虚空」を食べるのだが、ここ三日間で五食目のカレーということで、さすがに胃も疲れていたので、一レベル落としてみた。 久しぶりの『マジ・スパ』のカレー。味は全く変わっていない。一安心である。 しかし、白い揚げ春雨がのっていなかった。具によって、乗っているのとそうでないのがあるのだろうか? 知っている人がいたら、教えて欲しい。 刻み野菜のうまさ。辛さの中にあるこく。後味の心地よさ。どれをとっても、完成された味である。 『マジ・スパ』のモモは、初めて食べたが、形がモモの形をしているというだけで、味は普通の餃子とあまり変わらず、何か物たりなかった。 一緒に行った友人の「悶絶」を少し味見させてもらう。うーん、非常にものたりない。スープカレーというよりも、ただのおいしいスープなのだ。こくというか、味の深みのかなりの部分が、辛さによって追加して加えられる辛味に含まれているせいであろう。スープの色も「天空」は真っ赤だが、「悶絶」だと白濁スープという感じである。やはり、自分にとっての適切な辛さは「虚空」であるようで、「天空」はちょっともの足りなかった。スープカレーにおける辛さ選択の難しさ。自分の食べれる辛さの中でできるだけ辛くして食べるのが、激辛系スープカレーの正しい食べ方であることを再確認した。 ニューヨーク支店進出計画は、着々と進んでいるようである。今回の、ワールド・トレーディング・センターのテロ事件に負けづに頑張って欲しい。個人的には前から言っているように、ニューヨーク支店の前に、札幌市内に支店を出して、この混雑とサービス低下を改善して欲しい。 味に変わりはなかったが、いつもより、随分と店内が暗い感じがした。以前からこの暗さだったか? いつもと違う奥の席に座ったせいだろうか。これだけ照明が暗いと、せっかくの視覚的に楽しめる美しいスープが非常に見ずらい。店内の雰囲気ということを考えているのだろうが、せっかくの芸術的に美しい一皿が、非常に暗くて見ずらかったのが残念である。 一年前に比べても、すごい繁盛店になってしまったものだ。17時半の段階で、ほとんどのメニュー切れというのは、非常に残念。混むのはわかっているわけだから、もっとうまく対応できるだろう。味については、レベルダウンしていないので安心したが、この繁盛がサービスの低下につながらないよう、そして当ホームページの最高評価を落とさぬよう、これからも頑張って欲しい。 (2001年10月14日) |
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店で配られているマッチ 唐辛子の赤が食欲をそそる。 |
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