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激辛カレー批評 |
スリランカレストランコートロッジ東京都渋谷区代々木2-10-9 |
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「スリランカ狂我国」が大好きな私にとって、スリランカ・カレーへのこだわりは並々ならないものがある。 今回、出張で東京に行く機会を得たが、食べ歩きの店として、数百件ある東京のカレー屋の中から、この「コートロッジ」を選んだ。そして、その私の判断は正しかった。「私のカレーに対する嗅覚というのも、ただものじゃないない」、と自我自賛モードに入ってしまう。そのくらいの満足感を、この「コートロッジ」は与えてくれた。 場所は、JR新宿南口を出て、甲州街道を笹塚方向に歩いていく。5分もすると、左手にエスニックな店構えが見えてくる。 メニューを一覧する。単品のカレーで1000円くらいするので、セットメニューが得であることが判明する。Bセットのチキンカレーに決める。店員はスリランカ人だけのようである。かたことの日本語を喋るスリランカ人に注文する。 かなり大きなお盆にのって、カレーとその他のサイド・メニューが運ばれてくる。結構なボリュームである。 ガイドブックに載っていた写真は、真っ赤なカレーだったが、運ばれてきたカレーは、見かけ上は普通のルーカレーのように見える。なんだか、すこしがっかり。しかし、一口味わうと、その落胆は瞬時に消失した。 うまい。スパイシー。そして、ほんのりとした、ココナッツミルクの味わいが後を追う。結構な辛さが余韻として残る。別に辛さを指定したわけではない。この辛さをスタンダードな辛さにしているとは、なかなか凄い勇気だ。ピリリと効いたスパイスとチキンとの相性が絶妙である。 スリランカ・カレーとは、スープカレーなのか。「コートロッジ」のカレーは、スープカレーよりはドロッとしている。しかし、インドカレーのような固形カレーではなく、ルーカレーよりも粘度がない。札幌のスープカレーよりは粘度が高いが、広い意味でスープカレーと言って良いのではないだろうか。 |
真中が、プレーン・ゴダンバ。右上のロール状のものが、ゴダンバロティ。 マンゴープリンとチャイ
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私はココナッツ・ミルクが嫌いである。ココナッツ・ミルクは辛さをマイルドにする。逆に言うと、辛味をストレートに味わいづらくさせてしまう。しかし、この「コートロッジ」のココナッツ・ミルクの量は絶妙である。入っているか、入っていないか。いや、少し入っているな位の量で、スパイスの嫌味やスパイスのトゲみたいな部分をうまく隠すような感じで使われている。ストレートな辛さを損なわず、後味のよい辛さを演出しているのだ。 一緒に行った友人は、ビーフカレーを頼んだので、一口もらう。見かけは同じに見えたが、味は全く違う。全く違うと言うと大げさだが、チキンカレーのスパイシーな味わいに比べて、ビーフカレーはマイルドである。基本的なスープは同じなのだが、そこに上乗せするスパイスの配合がかなり異なる。多分、野菜カレーも違う味わいなのだろう。考えてみれば、素材こどにスープを変えるというのはあたりまえのように思える。インドカレーは別だが、スープカレー店の多くが、共通スープに具だけを変えて入れていることを考えると、具ごとに異なるスーフは凄いと思う。 メニューに載っていた、「プレーンゴダンバ」とは何か? ナンのようなパンの一種であることは、容易に想像がつくが、「ゴダンバ」とは恥ずかしながら今まで一度も食べたことがなかった。焦げ目のついたゴダンバ。この焦げ目のつき具合がまた絶妙で、食欲をそそる。カレーを少しかけて食べてみるが、うまい。ふわっとして、焦げ目はパリッと香ばしい。フワッとした厚焼きクレープという感じである。正直言って、カレーなしでそのまま食べてもおいしい。あまりにもおいしすぎて、残念ながらカレーとの相性という点でいうと、最高のコンビとは言い難いが。でも、おいしい。腹持ちも、悪くなさそうだ。フワットしたおいしいナンにかぎって、フワフワすぎて腹持ちが悪かったりする。ゴダンバは三枚もついており、スープとの量的なバランスも合う。 今度は、ゴダンバロティを食べてもみる。さきほどのゴダンバに、コロッケの中身のようなものが包まっている。ジュガイモと挽肉と、あといくつかのものが入っているのだろう。これもゴダンバはおいしい。さっきと同じものだから当然である。しかし、その中身は、何かもさっとした食感で、そんなにおいしいとは思わない。 他に、サラダもついている。セットメニューの付け合せのサラダと言えば、二三口で食べ終わってしまうミニサラダが多いが、ここのサラダは結構な量が入っている。 スープもゴダンバもかなりの量。満腹感と味覚的満足感に包まれる。 さらに、デザートとチャイがつく。デザートは、マンゴープリンであったが、このプリンがおいしい。マンゴーの風味が凄い。私はマンゴーですと自己主張している。普通マンゴープリンといっても、できあいの缶詰みたいのをただ封を切って出してくることが多いが、このブリンは手作りなのか。缶詰ではこれだけの風味はでないと思うが。 チャイについては、スパイスが抑え目で、インドのチャイと比べるとかなりマイルド。個人的には、食後に飲むチャイは、このくらい控えめの味の方がいいと思う。 これだけおいしいカレーを腹いっぱい食べて料金は、1300円である。安い。安すぎる。これは、どうみても1800円の価値はある。東京にも安くておいしいカレー屋があるではないか。 唯一欠点を指摘するとすれば、普通のスプーンをつけて欲しいと思った。スプーンはカレーの容器に入っている、取り分け用の丸くて大き目のスプーンである。このスプーンで直接口にスープを運ぶのは、なにかしっくりしない。スープはゴダンバと一緒に食べろ。直接飲むなという店側の意思表示なのかもしれないが、スープだけで直接飲んでも非常においしいのである。 メニューに一品料理が写真入で載っていて、かなり気になった。 今後、新宿に来るたび通ってしまうかもしれない。しかし、それは困る。新たなカレー屋めぐりが進まなくなってしまうからだ。贅沢な悩みである。 (2001年3月4日) |
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