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激辛カレー批評 |
カレースープカリィ厨房ガネー舎東京都港区新橋5−12−2 |
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東京23区内に初の札幌スープカレーの店が誕生した。 札幌「アジャンタ薬膳カリィ店」の味を受けつぐ。店名が「アジャンタ」ではないのは、東京にはインドカレーの有名店「アジャンタ」がすでに存在するからだろう。 店主の米山氏は、「TONJI」(国立)で修業したとのこと。 JR新橋駅から徒歩7−8分と便利だが、場所が少しわかりづらい。上記ホームページから地図をゲットしてから行くべし。 平日の昼間、ランチの終わり頃の時間ということもあり、客は二人だけ。何か寂しい雰囲気。東京での、スープカレーりのブレイクは、まだ遠そうである。 |
さて味のほうは、「アジャンタ」本店に近いが、同じではない。甘さが10%アップされ、漢方薬くささが20%ほど少ない。すなわち、「アジャンタ」よりも食べやすいカレーになっている。 本店同様に、辛さの設定はなく、卓上のスパイスで辛さを調整する(セパレート方式)。かなりの種類の混合スパイスである。私は、大匙2杯を追加した。辛さのみならず、風味もかなり出た。辛さの追加によって、甘さと辛さのバランスのとれた、おいしいスープカレーに変貌した。 |
食べ物というのは、最初の一口目のインパクトが重要である。辛さを加えない最初の一口は、タマネギの甘さが良く出た上品なスープに過ぎない。辛さを追加することによって、キリリと味が引き締まり、スープの甘さも初めて生きてくるのだ。 適当な辛さを自分で調整するというのは、なかなか難しい。スープカレーに慣れていない東京人に、それがうまくできるのか? |
辛さは事前の注文で調整してもらうシステムの方が優れている、と私は考える。札幌の数あるスープカレー店のうち、セパレート方式で成功しているのは、わずかに「アジャンタ」と「一灯庵」くらいなもの。80%以上の店は、事前に辛さを注文するシステムなのである。スープカレーになれた人間であれば、辛さ調整も難しくないが、ほとんどの客にとってスープカレー自体が初体験の東京という場所で、自分で調整しろというのは、酷な話だ。 また、スパイスに含まれる成分は脂溶性が多く、油と一緒に調理しないと、スパイスの本当の風味がでない。どれだけたくさんのスパイスを後から追加しても、水溶性の成分しかスープには出ないだろう。 このスープは、サフランライスとの相性も良く、すぐに胃の中に納まる。チキンはやわすぎず、適度に歯ごたえが残ってよい。 食べ終わると、店主が「どうでしたか?」と尋ねられたので、珍しく自らの正体をばらした。たまたま、他の客もおらずカレー談義となった。 |
樺沢:札幌「アジャンタ」本店との関係は? フランチャイズなのでしょうか? 店長:そうではありません。国立の「TONJI」という店にいしまたので、孫弟子ということになりますか・・・。 樺沢:「ガネー舎」はアジャンタ本店の味を守っていくのでしょうか? それとも、独自の味をめざすのでしょうか? 店長:あくまでも本店の味が好きで今の店を出しました。この味を広めて行きたいと思っています。本店の味と離れてしまわないように注意しています。本店から、たまに宅急便でスープを送ってもらい、味がずれていないかチェックしたりしています。 樺沢:本店と比べて、やや甘さが強いような印象を受けましたが・・・。 店長:スープのレシピは、本店と全く同じなんです。多分甘さは、タマネギの種類の違いでしょうか・・・。 樺沢:同じレシピなのにこれほどまでに味が違うのですね。スープカレーというのは、難しいですね。 スープカレーの特徴は、野菜がたくさん入っていることですが、東京で通年で安く野菜を仕入れるのは難しいのではないでしょうか? 店長:家がC市にあるので、そこで安く仕入れています。都内では、どうでしょうか・・・そんなに高くはないと思いますが・・・。 樺沢:水についてはどうでしょう? 札幌と同じレシピでも、水が違うと同じ味にはなりませんよね? 店長:そうですね。水については浄水器を使っています。アルカリイオン水にしたいと思っていますが、同じ味がでるのか・・・迷っています。 樺沢:東京でスープカレーは普及するでしょうか? 店長:まず一度、食べてみて欲しいですね。食べていただければ、そのおいしさはわかってもらえると思います。 樺沢:東京にはラーメン文化が定着しているので、食べてさえもらえればスープのおいしいは理解してもらえるでしょうね。ただ、カレーというと「ルーカレー」というイメージが強すぎるので、スープカレーが受け入れられるまでには、時間がかかるかもしれません。ただ、東京でもスープカレーは必ずブレイクすると思いますよ。 店長:それまで、運転資金が続けばいいですが・・・(笑)。 店長の味へのただならぬこだわりが、会話の端々に現れていた。 スープカレーは、東京でブレイクするのか? 是非、「ガネー舎」にはがんばっていただきたい。 |
ガネー舎
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