「映画の精神医学」推薦図書

「エクソシスト ビギニング」を
楽しむための資料集


エクソシスト ディレクターズカット版 DVD
税込価格:1575円 

 特典として収録されている、フリードキン監督の音声解説は必見である。「エクソシスト」のテーマに関する言葉は「なるほど」と唸られる。さらに、一シーンにどれだけの情報が盛り込まれ、表現されているのか。映画とはどう見ればいいのか? そんな映画学的にも興味をそそられる解説である。
 もちろん、まずは作品を楽しんで欲しい。
 「エクソシスト」は、樺沢の生涯ベスト20に入る作品である。 
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悪魔の系譜
著者:J・B・ラッセル 大滝 啓裕 出版社:青土社
税込価格:2854円

 悪魔の誕生からその広がりまでを、古代から現代にいたるままで、神話・宗教・文学・歴史・心理学や、社会的背景などから克明にあとづけた悪魔学の決定版。著者のラッセルは、カリフォルニア大学・歴史学科教授。「悪魔」について、本物の知識を身につけたい人にお薦め。最後には、アウシュビッツや広島の悪魔性らついても言及され、人間が持つ「悪」に収斂していくあたりは、「エクソシスト ビギニング」にも通じる。
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エクソシスト
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ/宇野利泰
出版社:東京創元社
税込価格:1029円
 第一作「エクソシスト」の原作。557ページと、読み応え十分。当然、映画に含まれていない部分も多く、特にカラス神父が悩み苦しむ部部が興味深い。これを読めば、「エクソシスト」はホラー映画ではなく、人間の心の闇を描いた文芸作品であるということがおわかりいただけるだろう。文句なしの傑作である。
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憑依の精神病理―現代における憑依の臨床
著者:大宮司 信  出版社:星和書店
税込価格:2804円


 憑依現象について、精神医学的に詳細に記した医学書です。憑依とは何かに始まり、治療にいたるまで、憑依のあらゆる側面がもらさず記載されています。精神科医が憑依について勉強するための本ですが、憑依についての専門的な知識をどうしても知りたいという人には、専門書の中では最もわかりやすく、最もまとまっている一冊だと思われます。


エクソシストとの対話
著者:島村菜津 出版社:小学館
税込価格:1575円
 バチカン内に実在するというエクソシストの実態。現実の悪魔払いの現実を描いたノンフィクション。21世紀国際ノンフィクション大賞優秀作。
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NEW 神は悪の問題に答えられるか―神義論をめぐる五つの答え
著者:スティーブン・T. デイヴィス  出版社:教文舘
税込価格:3675円
 神が善で全能であるなら、なぜ神はこの世界に悪の存在を許しているのか?  旧約聖書「ヨブ記」以来の問いが切実になりつつある今、現代英米を代表する神学者・宗教学者が「神義論」をめぐって白熱した議論を戦わせます。

 「エクソシスト ビギニング」の、「もう、ここに神はいない」。いるならなぜ、こんな虐殺を見逃すのか・・・。その答が、ここにあります。 
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NEW ニッケル博士の心霊現象謎解き講座
著者:ジョー ニッケル  出版社:太田出版
税込価格:1955円



まさか、「エクソシスト」を見て、「悪魔って本当にいるのでは?」と思った人はいませんよね。
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 この本は、全米No.1ゴースト・バスターニッケル博士の、幽霊、ポルターガイスト、「悪魔の棲む家」、ドラキュラ、ゾンビから、天使、妖精などの実際に起こった事件を調査した事件簿です。もちろん、全てニセものの心霊現象であることが証明されるわけです。
 なぜ、こんな根拠薄弱な事件が、心霊現象だと世間で大騒ぎされるのか? 
 読んでいると、むしろ大笑いします。映画「悪魔の棲む家」のもとになった家を訪れた時のレポートが一番笑えます。
 心霊現象を科学的に検証する本はたくさん出ており、大槻先生の本など私も好きで結構読んでいますが、この「ニッケル博士の・・・」はおもしろさという点でお薦めです。まあどうしても心霊現象を信じたい人は、これを読んでも、「これは一部の調査結果に過ぎない。本物の心霊現象もあるはずだ」なんていう、屁理屈を言うんだろうなあ。

NEW 水木しげるの憑物百怪
著者:水木 しげる  出版社:学研
税込価格:1631円


 日本全国から集められた憑物120が絵入で紹介されています。
 「エクソシスト ビギニング」のパズズは土地神と考えられますが、日本名でも土着信仰と結びついた憑物の神々がこれほどたくさんいた、ということです。憑依という現象が、その土地の文化や習俗の一つとして組み込まれていた、ということがわかるはずです。
 もちろん、水木先生の絵も魅力的です。形のない憑物をどうやって「絵」として表現するか。そこが、この本のおもしろさでもあります。

悪魔くん千年王国
著者:水木 しげる 出版社:ちくま文庫
税込価格:1050円

 「エクソシスト ビギニング」とは直接の関係はない。
 しかし、水木しげるの熱烈なファンである私にとって、「悪魔」でまず連想するものといえば、「悪魔くん」なのだ。とはいえ、このマンガはバカにできない。テレビ版「くな」とは全く異なる。極めて深いテーマ。聖書を背景とした世界観。水木しげるの最高傑作にして、樺沢の座右の書でもある。「悪魔(くん)=キリスト」という図式は、「エクソシスト ビギニング」にも通じるものがある。究極の点描画など絵的にも凄いものがある。大人が読んでおもしろいマンガである。