樺沢紫苑の札幌激辛カレー批評 |
ぐわらん洞 札幌市北区北20条西3丁目 |
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四季天 季節の天ぷらをちょっとスパイスが効いた付けダレでいただく。これが、「四季天」だ。 穴子(丸ごと一本)、タチ、牡蠣、菜の花、エビ等7−8種類の天ぷらが勢ぞろい。これと同じ天ぷら定食をてんぷら屋でいただけば2000−2500円はとられるだろう。 スープの方は、「ぐわらチキ天」と同系のスープ。しかし、スープだれ味わうと、けっこうピリッとする。スパイスは微妙に違うようだ。 こりれはもはやスープカレーではない。まあしかし、おいしければスープカレーであろうがなかろうが、関係ない。 |
うちの両親(60代後半)にこれを勧めたところ、非常に満足し喜んでいた。そういえば以前、親を連れてM店に一緒に行った時は、スパイシー過ぎて1/3ほども残していた。「ぐわらん洞」のカレーはどちらかといえば、カレー通向きかなと思っていたが、和風ダシをベースにしておりスパイスも控えめなので、年長者が初めて食べるスープカレーとしてもいいのかな、と認識を新たにした。 とにかく、「四季天」はコストパフォーマンス的に優れたお勧めの一品。 あと、「トマチキ」を少し味みさせてもらったが、初めて食べた時よりも、コクと旨みが20%ほどもアップしていた。スープの喉越しがとてもなめらかだったのも印象的。単なる物真似ではなく、独自の味の境地に達しようとしている。ということで、「トマチキ」もお勧め。 (2004年3月7日) |
塩ブタ 冬場は車で移動しづらい。そんなこともあって、いつも車で行っていた「ぐわらん洞」はしばらくご無沙汰になっていた。その間、「塩ブタ」「つくねがら」「たち天」「しゃぶしゃぶ」などの新メニューが続々登場しているが、全く追いつかなくなってしまった。 今回は、「塩ブタ」をいただく。土鍋に入って登場。ふたをあけると、まだグツグツと煮立っている。 基本的には、「ぐわらチキ天」のスープだが、スパイス使いがかなり違う。口に含んだ時の風味が全く別物。表面に天ぷらから移った油がごく少量浮く程度で、非常にサッパリとして、スイスイといただける。 |
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具は、豚肉、マイタケ天、しいたけ天、水菜、ダイコン、モチ、ネギ、キャベツ、豆腐。このスープにベストマッチして特に美味かったのは、マイタケ天とネギとモチ。 最後までアツアツでいただけるのが良い。 考えてみると、鍋料理を外食しようと思っても、1人前からやっているという店は珍しい。こうした、一人用の鍋というのは、独り者にはありがたい。 「ぐわらチキ天」のバージョン違いといった感じで、その日の気分によってセレクトしたいメニュー。 (2004年2月28日) |
トマチキ 10月下旬より、新メニューが追加された。「トマチキ」「海老庵」「パピヨン」「キリタンポ」「収穫祭」である。これに、今まで常設メニューだった「本日海店」「ルー」の7種類が日替わりメニューとなって、毎日3-4種類が登場する。 ますば、「トマチキ」をいただく。メニューの説明には、「トマトと豚骨のスープを使ったちょっとコッテリ系の揚げチキン入り」と書かれている。豚骨というとコッテリという印象だが、トマトの風味、爽やかな酸味とうまく調和が取れている。 「華」「ルー?」は私的には油多めに感じたが、この「トマチキ」の油の量は適切である。「ぐわらん洞」の他のスープと異なり、最初からけっこう辛味がついている。 |
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日本で最も辛いという唐辛子を取り寄せ、少しだけ加えているという。確かに、スープがしっかりしているので、辛さを加えるとおいしくなる。後半、卓上の赤唐辛子と青唐辛子を大量に加えると、また別なカレーとして楽しめた。激辛にしてもおいしいカレー、今までの「ぐわらん洞」にはなかったパターンである。 具がたくさん入っていてボリューム感がある。揚げチキンの量が多く満足。確かに、チキン自体はコッテリとしているが、トマトの酸味のせいでアッサリといただける。ライスにのせてもおいしい。マイタケの素揚げ、ナス、オクラ、小タマネギ、揚げジャガイモ。どれもなかなかのもの。 |
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温玉が別皿でついてくるのも、GOOD。スープに加えてもいいし、ライスにのせてもいいというわけ。 かなり満腹。これで、850円は安い。 そして、額に汗が流れた。「ぐわらん洞」らしくないカレー、といっては失礼だが、他のカレーとのコントラストもあり、良いメニューだと思う。 (2003年10月28日) |
冷やしカレー 7月中旬より登場している、「冷やしカレー」(900円)をいただく。実は登場直後の7月16日に既に食べていたのだが、まだ味が完成していないということで、HPにアップしないで欲しいという店長の要望により、更新を自粛していた。 コンソメのゼリーと冷麺が入っている。そのままだとあまり辛くないので、好みにより辛いタレを追加する。温玉が別皿になっているので、ライスかスープか好きなほうに載せて食べられる。 |
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スープは冷たいという温度までには冷えていないが、それは意図的なものだという。「冷やしカレー」なので、個人的にはもっと冷した方が、甘みが冴えるのでよりおいしくなると思った。 スープのうまみ的には完成されている。問題は辛さだ。このタレの辛さに、もう一工夫欲しいところ。 ライスが少ない。スープに冷麺が入ってから、ということなのだが、ここまで少なくしなくてもいいと思う。ライス大盛にすればよかった。 しめじが意外とおいしかった。 「冷やしカレー」は大変おもしろい一皿。カレーといえるのかどうかという議論は出そうだが、好奇心が刺激される。 「ぐわらん洞」は味的には、非常に高レベルでありながら、今ひとつブレイクしない。私の分析では、「ボリューム不足」が北大生の足を遠のかせていると思うのだが・・・。 (2003年8月7日) |
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新メニューとメニュー名変更 2003年7月より、新メニュー「本日海店」が追加されるとともに、旧メニューの名前が変更された。「オリチキぐわらんスペシャル」は「ぐわらチキ天」に、「2003年春」は「華」に、「TENPURA」は「四季天」に変更されている。 当然のごとく、味の進化も見られるので、一気に三食を試食した。 |
「本日海店」は、その日仕入れた海鮮を使ったスープ、すなわち日替わりで具が変わるメニューである。本日の具は、ヤナギノマイとウミガニである。魚のダシが効いている。そして、トマトの風味が微妙にある。雰囲気としては、和風ブイヤベースといった感じ。とても、サッパリとして飲みやすいスープ。魚のダシがかなり強いので、大好きな人とそうでない人に分かれそう。これは、スープカレーの概念を超越したスープ料理である。アッサリ好きは、一度試さねばなるまい。 昨日の具はアンコウ。海鮮の具によってスープの味も当然変化する。何度も楽しめる奥深いメニューだ。 |
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「ROUX?(ルー?)」は、トロミの強いスープ。ルーカレーとスープカレーの中間。かなりコッテリしている。トロミの中に旨みがタップリと含まれている。ライスをスープ皿に投入してしまった方がおいしい。メインの具は、柴漬とタケノコの入ったツクネである。かなり巨大だ。これは、「ぐわらん洞」の中でも最もコッテリしたカレーである。「グワラチキ天(旧オリチキ)」では物足りない、コッテリ派にお勧め。 「2003年春」改め「華」。これは、以前は油が多く、かなりコッテリした印象だったが、油の量は抑制されて適量に。そして、ココナッツミルクが少量加わり、サッパリとした飲み口になっている。具はほぼ同じだが、以前よりもサッパリとして味もシャープになった。 |
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ということで、それぞれに個性豊かなカレーであった。どれが一番おいしいのか? 非常に難しい問題である。その日の気分によっても変わる。 三人で食べに行ったが、「ぐわらん洞」におけるそれぞれのベストは、樺沢は「グワラチキ天」、Takeshiさんは「本日海店」、うっちぃは「華」と、好みによってベストの一皿が全く異なった結果となった。それぞれに個性的で完成度が高いということだろう。是非、食べ比べていただきたい。 (2003年7月9日) |
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開店当時のレビュー 2003年3月25日にオープンした。 入り口は小さいが、中は想像以上に広い。内装はモダンで、席と席の間隔も広く、落ち着いた雰囲気である。「夜にカップルで入れるカレー屋」というコンセプトで作られたようだが、それがよく伝わってくる。 全8種類のメニューがある。「一灯庵」のメニューとは微妙に違っている。 先日、「一灯庵」で「オリジナル・チキン」を食べたばっかりなので、敢えて比較の意味で「オリチキぐわらんスペシャル」(850円)を注文する。 チキンの上に舞茸の天ぷらがのり、その上に水菜がふりかけられて彩を添える。盛り付けは立体的である。 |
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スープを一口いただく。うまい!! あっさりとして、シンプルな旨み。和風だしのせいか、味は「そばつゆ」に近い。スパイスの量はかなり少ない。辛さもほとんどない。スープカレーではなく、「おいしい和風スープ」というのが正しいだろう。 冷めないうちにと思い、舞茸てんぷらをスープに浸して食べようとしたら、あまりに熱々のため、火傷しそうになる。それほど、揚げたての状態で運んできているということだ。スープが染み込んだ天ぷらは、コンセプトとしては「天ぷらそば」である。しかし、「天ぷらそば」でありながら、微妙なスパイスの味わいがする。今までにない食体験。 スープの底に、焦がした長ネギが隠れていた。おっと、これは「鴨南蛮」のコンセプトか・・・。ナスやニンジンなど、どれもあっさりとした具が揃っている。とにかく、スープの旨みを邪魔しないような、脇役配置である。そして、水菜の食感が、ちょっとしたアクセントとギアチェンジの役割を果たす。 チキンは大きめ。そして、味は非常にあっさりとしている。下味がほとんどない。「一灯庵」の「オリジナル・チキン」のチキンは、もっと下味がついていて中華料理の蒸し鶏のような味であったが、それとは全く異なる。「味が薄すぎる」と文句を言う人もいるかもしれないが、この一皿の具は、アッサリとしたスープを邪魔することなく、むしろそのスープのほのかな味わいを引き立たせるための最高の脇役として配置されている。このチキンの食べ方は、よくほぐしてスープに浸して、スープを十分吸収させてから食べるのが良いだろう。チキンの味付けが薄いのが功を奏し、もともとのスープの味がはっきりとわかり、スープを別な視点から楽しめる。 スープを食べていると、あまりのスープのうまさに、ライスを食べるのを忘れる。極めてスープがうまい場合に起きる「ライスなどいらない症候群」に陥る。「ライスは良いから、スープをもっとくれ」と叫びたくなる。「スリ狂」や「マジスパ」でもこうした境地になるわけだが・・・。 もともとのスープに、辛さはほとんどついていない。カレーとともに運ばれてくる。みじん切りのピッキーヌか、赤唐辛子のペーストの二種類を、自分で調整して、辛さをつける。これだけスープがうまいと、「辛さなどいらいない」と言いたくなる。もし加えるとすれば、ピッキーヌのシャープな辛さを主体にしたほうが良いだろう。自分としては、いろいろと調整してみたが、「辛さの追加なし」か「少量のピッキーヌ追加」が、もともとのスープの味わい壊さない食べ方として、適当と思われた。 スープカレーにてんぷらの組み合わせ。非常に珍しい。「ポレポレ」はフライを入れているし、「マジスパ」では「かき揚げ」のトッピングというのがあり、全く初というわけではない。ただ、この天ぷらとの組み合わせは、シンプルなスープとシンプルな具の組み合わせの中で初めて成立する。コッテリスープに天ぷらでは、胃がもたれることにもなりかねないからだ。 さて、「ぐわらん洞」は「一灯庵」の支店ということだったが、この二つのオリジナル・チキンは、似て異なるものである。もともとのレシピは伝授されているのだろうが、それをかなり大胆に変更し、具に関しては完全にオリジナルなものになっている。分かりやすく言えば、「一灯庵」のカレーをもとにした創作料理ということになる。 「一灯庵」の主人は非常に研究熱心な人であるが、この一皿を食べただけで、「ぐわらん洞」の店主もまた研究熱心であることがわかるし、食に対する並々ならないこだわりが伝わってくる。 スープのうまみ。塩加減も丁度良く、具の取り合わせの奇抜さ。どれをとっても一級品である。これは、「芸術的な一皿」(久しぶりに登場)と言って良いだろう。 また、店主の気遣いもなかなかのもので、快く食べることができた。 唯一、要望があるとすれば、「スープ大盛」をメニューに加えて欲しいことくらいか・・・。 将来性がすごく感じられるし、スープカレーの新たなる次元をここに見出す。 これは、サッパリ系のスープカレーの局地と言えるだろう。したがって、コッテリ系カレーが好きな人は、全く口に合わないかもしれない。例えば、「ピカンティのミレニアムが一番好き」という人には、決してお勧めしない。また、「カレーは辛くないとだめ」という激辛好きにも向かない。とにかくスープの本当のうまさだけをとことん追求すると、こんなスープカレーになのだろう。いや、スープカレーではなく、新時代のスープ料理だ。 (2003年4月9日) |
昔の味 ありがちぐわらんスペシャル |
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