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ソウ完全解読

 

■ 根拠5 聖書的にも見事に合致

 いままでの号で、聖書的な解読にふれた。
 それを要約すると、「ジョン」は「裁きの神」であるということ。
 そして、「アダム」は、アダムとイブのアダムで、神が創った最初の人間であるということ。

 つまり、「アダムは神の子」である。
 
 ジョンが裁きの神であるとするなら、その子の名前が「アダム」というのは、まさにドンピシャ
のネーミングである。まさに、「ジョン=アダムの父親」説にとって、「アダム」というその名前
自体が、「子」であることを見事に象徴している。
 
 さて、以上のように、「ジョン=アダムの父親」説を支持する根拠は、劇中にいくつか
存在する。

 ただ、反論もありえるだろう。
 例えば、アダムが、ジョンがマスクをはずした時に、「自分の父親だ」と初めて気付いて驚いた
というが、テープの声を聞いたときに気付かなかったのか? ということ。 
 いくらしばらく会っていないとはいえ、親子であるから、その声を聞けば、自分の父親
だとすぐに気付くのではないか? という疑問がある。

 また、ジョンが実の子であるアダムを殺す十分な理由が説明されていない。
 推測するには、自分が癌になったのに見舞いにも来ないし、連絡もしてこないので腹を
立てて、というのは考えられる。

 しかし、いくら音信不通とはいえ自分の子供である。
 自分の子供を殺さなければいけない理由は、相当しっかりしたものでなくては、観客は
納得しない。「見舞いに来ないアダム」だけでは、多くの人は受け入れられないだろう。
 
 結論をまとめると、「ジョン=アダムの父親」説の確からしさは、20〜30%くらい。

 
 「ソウ」における、重要なドンデン返し。 
 死体の復活。アダムの共犯に関しては、いずれも最低七つ以上の伏線によって、
周到に説明されていた。
 それと比べると、「ジョン=アダムの父親」説に関しては、明らかに伏線不足である。

 つまりこれは、脚本のワネルや、ワン監督が、観客全員が到達して欲しい<結末>ではない
のではないかと思われる。

 ただ、こんなことを考える人もいるかも・・・というオプショナル的な楽しみとして、
「ジョン=アダムの父親」説を仕掛けた可能性は十分ありうる。

 Make your choice.
 決めるのは、あなた次第。 である。

 

まとめて読みたい方は、読みやすいPDF版
「ソウ完全解読」をこちらからダウンロードしてください。


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