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ソウ完全解読

 

■ ジョンの心理 躁的防衛

 ジョンは、ゴードン以外の命を粗末にする人間を裁きたかったし、社会に対しても
命の大切さを訴えなければ、と誇大的になっていた。
 ゴードンは自分を、裁きの神であるかのように捉えていた可能性がある。
 自分が神であるという錯覚。自己肥大と誇大性。
 これらは、躁症状として理解できる。
 躁とは、うつの反対で、精神的に活発すぎる状態である。
 
 末期癌患者の場合は、「うつ」を示す患者が多いが、場合によっては「うつ」の反
対の「躁」を示すこともありえる。
 そして、躁状態になることで、自我を完全な絶望から保護すること。にぎやかに、
明るく、能動的に振る舞うことで、内心の不安や怒りを隠すような行動を、躁的防衛という。
 
 例えば、あなたが彼氏にふられてしまい、とても悲しいとする。死にたいくらい悲
しいとする。心の中はどん底なのに、それを隠すように、バカ陽気にふるまうことは
ないだろうか?
 酒飲んで、カラオケに行ってバカ騒ぎをする。思いっきりしてしまうという。
 これも、広い意味での躁的防衛に含まれるでしょう。

 「新世紀エヴァンゲリオン」のアスカも、躁的防衛である。
 彼女はいつも明るく、そして強気に振舞っていた。
 その理由は、自分の母親の自殺のショックを誤魔化すための、躁的防衛だったのである。
 
 躁的防衛は普通の人にも見られる。
 しかし、その心因(精神的ストレス)が深く大きいほど、躁の跳ね返りも大きい。

 もう数ヶ月で死ぬしかないジョン。
 その彼は、世間に「命の大切さを教える」という使命感で、絶望の奈落に落ちないように、何とか防御していたということである。

「俺が社会に対して命の大切さを教えてやる」
「俺がゴードンを成敗してやる」

 もちろん、その手段は誉めらたものではないが、心理としては了解可能である。

 

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