ソウ完全解読 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■4 ソウで学ぶ医学知識 ───────────────────────────────── 上記の考察だけでは、「完全解読」というわりにはたいしたことないな」という人 がいるに違いありません。 それに、このメルマガは「映画の精神医学」。人間の心理について学ぶメルマガですから、そうした視点について、もっと深めておきましょう。 ┌─────────────┐ ジョンの脳腫瘍と癌患者の心理 └─────────────┘ ■ 脳転移の患者は、どれだけ生きられるのか? ジグソウは、ゴードンの病院の癌患者ジョンだった。 ゴードンは説明する。結腸癌の脳転移であると。 このセリフは、何を意味しているのか? 「末期癌で、長く生きられない。」 そう理解した人は正解である。 でも、長くって、どのくらい? 一年生きるのと、2、3ヶ月の命では、ストーリーの理解も変わってくるだろう。 一般的な脳転移でいえば、無治療の場合には、平均生存期間は1-2カ月。 放射線治療などの治療を行なっても、3-6カ月の命である。 http://plaza.umin.ac.jp/~radiotherapy/protocol/brain/brain.htm つまり、数ヶ月の命ということである。 すなわち、ジョンは脳転移と診断された時点から、数ヶ月の命である。 もう一つ重要なのは、彼は「結腸癌」の脳転移だったということ。 これが意味することは、「完全に手遅れ」。 脳転移しやすい癌としては、肺癌がある。 肺からの血流が心臓を通って脳に到達する。肺と脳は、血液の通り道的に、非常に近い臓器なのである。 したがって、肺癌が脳転移した場合には、他の臓器には転移していないことも多い。 しかし、結腸というのは、脳からとても遠い。 結腸の癌細胞が脳に到達するためには、全身を回らなくてはいけない。 つまり、結腸癌が脳転移しているということは、全身に癌細胞がちらばっていると いうこと。 治療しても、全く意味がない。したがって、放射線療法や化学療法の適応にはならない。ほとんど、末期も末期のひどい状態、ということ。 だから、ジョンは必ず死ぬ。 そして、余命数ヶ月というのが重要。 別に警察につかまっても怖いことはない。裁判が終わるまでに死んでしまう。 恐れるものなど、何もないのだ。 自暴自棄になってもおかしくない。 これが「あと三年」の命だったら、犯罪にあけくれることはなかっただろう。 ジグソウの犯罪動機を考える上で、重要な事実である。 ジョンは、ゴードンから癌の告知を受けてから、ジグソウになった(はずだ)。 最低四人を巻き込む事件(ゲーム)を起こしている。 結構、道具などに凝ったこった仕掛けを準備しているので、若干の準備期間も必要だろう。劇中では、ゴードンが回想する時に「5ヶ月前」の事件と言っている。 癌の脳ヘの転移といっても、病理組織型によっても進行の速度は違う。 半年生きる人もいるし、一年生きる人もいないわけではない。 「5ヶ月」という期間は、長いほうだと思われるが、ありえない期間ではない。 確かなのは、ジョンの命は、もうほとんど残っていない。 いつ死んでもおかしくない状態、ということである。 |
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