[映画の精神医学 HOME]

ソウ完全解読

 

<3> 第三級証拠
 
 掲示板によくある。
 「常識的に考えれば××だ」「一般的には、××したに違いない」
 こうした常識判断は、映画の中に、一級、二級証拠が全く描かれていない場合に、初めて採用されるべき、三級証拠である。
 裁判で言えば、状況証拠である。

 三級証拠は、一級、二級証拠よりもはるかに弱い。したがって、劇中の描写で何らかの説明がある場合は、常識や一般論を登場させるべきではない。

 例えば、いまの例。
 「常識で考えれば、ゼップは監禁に協力しないで、病院に行って解毒してもらうべ
きだろう」
 常識的にはそうだろうが、これは映画である。
 常識の大小を争うために、議論しているわけでもない。
 映画の描写に従って判断するのが、映画の議論の約束である。

 ゼップが「監禁を楽しんでいる」と思わせるシーンがある。
 第二級証拠によって、この理由は説明されているのである。
 したがって、三級証拠である常識が登場する余地はないのだ。

 実は、この理由はセリフによっても説明されている。
 「唯一の解毒剤は私が持っている」と。ジグソウからゼップへのテープである。
 特殊な解毒剤であって、病院に行っても解毒剤はないということである。
 セリフという一級証拠で、しっかり説明されているのである。

 「私なら、病院に行く」
 「普通なら病院へ行くだろう」

 しかし、セリフによる一級証拠。映像による二級証拠の両方で、ゼップが監禁を放棄して病院に行かない理由が描かれている。
 したがって、常識や一般論で、どれほど「病院に行く」という判断が確からしいこ
とを証明しても無意味である。
 これは、映画の解釈であって、現実世界でどうするかを議論しているわけではないのだから。

 映画とは、このように理解し、解釈すべきである。
 まあ、私の個人的意見だが。

 

まとめて読みたい方は、読みやすいPDF版
「ソウ完全解読」をこちらからダウンロードしてください。


[映画の精神医学 HOME]

 

関連サイト
[ブログ シカゴ発 映画の精神医学]
[精神医学・心理学本の全て]
[激辛カレー批評]
[カレー本の全て]
[スター・ウォーズ研究誌 ホスプレス]
[樺沢紫苑の世界へ]
[必ず役に立つ無料レポート]
[毎日50人 奇跡のメルマガ読者獲得法]