[映画の精神医学]

ボーンコレクター  


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『羊たちとの沈黙』との共通性
 『羊たちの沈黙』と似ているのかな、と見る前から思っていたが、実際に見るとあまりにもそっくり過ぎて、驚かされる。
 体の自由が利かないライムの目と足になってアメリアが活躍するさまは、レクターの手足となって捜査を進めるクラリス(ジョディー・フォスター)とピッタリ重なる。

 レクターは単に捜査のアドバイスをするだけでなく、クラリスのトラウマを暴き、羊たちを沈黙させることで、クラリスの心に平安をもたらした。
 何か心が満たされないアメリアに対し、父親の死を目撃したアメリアのトラウマに気付き、「運命は自ら切り開くもの」と語り、アメリアを勇気付けるライム。ライムは彼女の心を癒していく。だからこそ、アメリアはライムに心引かれていくのである。
 そういえば、『ボーンコレクター』には、レクター博士の名前が入っているわけだが、これは偶然か。多分偶然だろう。

 演技陣の好演
 『ホーンコレクター』のおもしろさの一つは、どのキャラクターもなかなかうまく演じられていることだろう。

 デンゼル・ワシントンが名優であることは、今さら言うこともないが、今回は体のアクションは全くないという制限のなか、表情だけでよくぞここまで演じたという感じである。「やはり、うまい」とありきたりな感想をもらさざるを得ない。
 アメリアを演じるアンジェリーナ・ジョリー。彼女の演技がなかなか良い。最初は、ちょっと硬いイメージがあったが、映画を観ていくうちに彼女の魅力にどんどん引き込まれていく。今後が楽しみの女優の一人である。

 『ホーンコレクター』で一番の名演をしているのが、看護婦セルマ役のクイーン・ラティファである。時々挿入される、彼女の顔のアップ。それが極めて印象的に使われている。一瞬のカットなのに何か伝わるものがある。
 

 オーソドックスな映画
 『ホーンコレクター』を一言で評するなら、オーソドックスな映画ということになろうか。それは並みの映画という意味ではない。当コーナーで既に何度も書いているように、最近の映画は『タイタニック』『グリーンマイル』のような過剰説明映画と『マトリックス』『ファイトクラブ』のような説明省略映画の二つに二極化していた。そうした中、『ホーンコレクター』はきちんと伏線を張って、それを丁寧に拾っていく。ストーリーを順序だてて、過不足なく説明していく、昔ながらのオーソドックスな映画なのである。一昔前であれば、このようなオーソドックスな映画が、公開される映画の大半を占めていたはずだが、久しぶりにこうした映画を見ると何か新鮮な感じがするから不思議だ。
 謎解きの面白さとして、ちょっと意外性に欠けるし、ダイナミックな展開はないが、演技陣の頑張りが光る、堅実な映画という印象である。 

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捜査官リンカーン・ライム
デンゼル・ワシントンの演技がうまいことは言うまでもないが、表情だけの演技で、よくぞここまでやったという感じ

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ライムの目と足になる
アメリア

彼女の制服姿が妙に格好良い

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ライムにひかれていく
アメリア

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看護婦セルマ
 クイーン・ラティファの助演がきらりと光る

 

シカゴ発 映画の精神医学
アメリカ、シカゴ在住の精神科医が、最新ハリウッド映画を精神医学、心理学的に徹底解読。心の癒しに役立つ知識と情報を提供ています。
 人種、民族、宗教などアメリカ文化を様々な角度から考察。
 2004年まぐまぐメルマガ大賞、新人賞、総合3位受賞。
(マガジンID:0000136378)

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