[映画の精神医学]

 

見てない人のための映画評(ネタバレなし)
JSA

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映画批評の意味
 この、『超映画分析』のコーナーは、映画の内容についての徹底した解読を目的にしているわけですが、あまりにも内容に立ち入りすぎているために、完全なネタバレになっているために、その映画を見ていない人がちょっとのぞいてみるということができないものになっている。
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 映画批評の意味、役割としいうのには、主に二つあります。一つは、映画の解読。テーマや内容について、わかりやすく解説すること。もう一つは、これから映画を見ようと思っている人が、見に行くかどうか決めるための判断材料として、映画を紹介するという意味です。
 新聞や雑誌の映画批評がおもしろくないのは、この二つの批評の機能を、一つの文章で行っているためである。ネタバレができないので、十分な解読ができない。一方、テーマなどについても多少言及されているので、知りたくないあらすじまで書かれている場合がある。では、どういう映画批評が望ましいのか。
 そりは、解読と紹介の機能を完全に分離することです。そうした、コンセンプトのもと、この「見てない人のための映画評」のコーナーを始めます。ネタバレなしですので、安心してお読みください。

 

『JSA』
 こんな映画だとは、全く予想してなかった。どうしても、韓国映画というと『シュリ』の印象が強くて、その系統の映画かと勝手に予想してしまうが、『JSA』はかなり硬派な映画である。『シュリ』同様、南北朝鮮の隔たりをテーマにしているわけだが、『JSA』は板門店を舞台にしているだけあって、まさに直球勝負の映画である。まあしたがって、『シュリ』のように娯楽性は強くないけど、ラストが感動的なのは一緒である。
 しかし、韓国の人はこの映画を見て、普通に楽しめてしまうのだから(おそらく大ヒットしているのだから、楽しんでいるのでしょう)、彼らの映画鑑賞力には関心する。正直言って、『JSA』はわかりずらい。もちろん私にはわかるけど、普段映画を見れていない人にとってはかなりつらい。『タイタニック』をおもしろがるような人は、まず『JSA』にはついていけない。

 映画的なテクニックを実にうまく使っている。具体的に言えば、回想、小道具による伏線、カメラの移動(パンニングなど)である特に、回想が頻繁に入る。注意していないとの、誰による回想なのか、いつのことを回想しているのかが分かりずらくなる。何月何日何時という時間がクレジットではいるが、かなり重要なので基盤となる事件がいつおきたかくらいは、頭に入れておきたい。
 そして、小道具の使い方が実にうまい。具体的にはネタバレ批評欄に書くが、ちょっとした小道具で人々の感情的交流、気持ちの変化などを語ってしまう。40年代、50年代の映画にはよく使われていた手法だが、最近の映画ファンは、この細かなニュアンスまできちんと楽しめているのだろうか?

 とにかく、映画の最初から気を張り詰めてみていないと何が何だかわからなくなってしまう。内容的な難しさというか、手法、技法としての難しさである。しかし、先のストーリーが予想できる単調な映画に飽きてしまっている人には、この映画は非常に新鮮にうつるだろう。映画がどう展開していくかが、全く予想できない。予想できないわけだはないが、この映画がこういう映画であるということが明らかになるのがかなり後半である。とにかく、韓国の映画作家たちは、映画が好きで映画を作っているんだなあというのが、ひしひしと伝わってくる。 
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壮絶なバトルシーン

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 物語の先導役(狂言回し)役のイ・ヨンエは、端整な美人という感じで、制服姿が非常に似合っている。正にはまり役。
 痛快な娯楽映画というよりは、心苦しいやるせな、南北朝鮮問題の抱える矛盾に満ちた感動を体験するだろう。
こんな人にお薦め  「南北朝鮮問題」と聞いても、引かない人。
 感動したい人。 
 「男の友情」ものが好きな人。
 映画らしい映画を見たい人。

 ストーリーが予想できる単純な映画に飽き飽きしている人。
 「イ・ヨンエ」顔の好きな人。
こんな人には
薦めない
 「南北朝鮮問題」と聞いて、何のことかわからない人。あるいは「板門店」という言葉を聞いたことのない人。
 政治的なテーマが苦手な人。
 『タイタニック』を見て、心からおもしろいと思った人。
 痛快な娯楽映画を見たいと思っている人。

 

 

シカゴ発 映画の精神医学
アメリカ、シカゴ在住の精神科医が、最新ハリウッド映画を精神医学、心理学的に徹底解読。心の癒しに役立つ知識と情報を提供ています。
 人種、民族、宗教などアメリカ文化を様々な角度から考察。
 2004年まぐまぐメルマガ大賞、新人賞、総合3位受賞。
(マガジンID:0000136378)

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