[映画の精神医学]


スリーピー・ホロウ               オフィシャル・ホームページ
 ホラー映画ファンの私でありますが、『スリーピー・ホロウ』はかなり気持ち悪いです。残酷というか。変に血しぶきが飛ばないのが、リアルじゃないリアルさを出している。血しぶきが飛びすぎると、逆にリアルさがなくなる場合の方が多いのかもしれない。
 しかしこんな首をちょん切りまくる映画が、よくアメリカで上映され、1億ドルもの大ヒットをしたなあ、と関心してしまう。残酷さも、ティム・バートンの映像美学にかかると、こうなるのか。 
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ティム・バートンの独特の映像世界
 それにしても、クリスティーナ・リッチは最高。『アダムス・ファミリー』のウェンズデーが、実にいい女に成長した。本当。ジョニー・ディップとのコンビも、この二人しかないという絶妙なキャスティング。このての映画は、雰囲気が命である。そういう意味で、この二人は独特の雰囲気を出していた。
 アメリカンの古い町を舞台にすると、「魔女」は欠かせない要素なのか。最後に魔女は成敗されるので、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』みたいな、怒りは感じなかったが。
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クリスティーナ・リッチ
最高 ! !
 イカボッドの母は魔女で、カトリーナの母も魔女、そしてカトリーナ自身も簡単なまじないを使う。イカボッドが、魔法を使う自分の母親と、まじないを使うカトリーナを重ねあせていく。魔女である母親を、狂信的なクリスチャンの父親が、殺してしまうというエピソードは、イカボッドにとってのトラウマ(心的外傷)である。そのトラウマのせいで、イカボッドは拷問を憎み、科学絶対主義を振りかざす捜査官になる。しかし、イカボッドの科学絶対主義は、あくまでも彼の防衛機制に過ぎない。ホースマン(首なし騎士)を見ては腰を抜かし、恐怖にさいなまれる。本当のところ

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クリスティーナ・リッチ
最高 ! !

 イカボッドは現実主義者でも科学絶対主義者でもない。母のイメージそのものである、魔術というものに対して、極力目を向けないように回避しているだけなのである。
 イカボッドのトラウマは、母親とイメージが重なるカトリーナとの恋によって癒される。自分の母親を救えなかった負い目を、カトリーナを救うということで代償し、自らのトラウマを乗り越えていくのだ。
 随所に回想シーンがうまくはいることで、イカボッドの幼年期の思い出を描き、イカボッドの人間性が描かれていく手際は見事である。


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独特の雰囲気をかもし出す二人の主人公

 『スリーピー・ホロウ』はかなり刺激的な映画であるが、ティム・バートンの独特な映像世界を堪能できる。これをホラー映画に分類してよいのかわからないが、ここちよい恐怖を味わえる映画といえる。
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奇妙な道具を使うイカボッド
科学対魔術は、隠れたテーマの一つである

 

シカゴ発 映画の精神医学
アメリカ、シカゴ在住の精神科医が、最新ハリウッド映画を精神医学、心理学的に徹底解読。心の癒しに役立つ知識と情報を提供ています。
 人種、民族、宗教などアメリカ文化を様々な角度から考察。
 2004年まぐまぐメルマガ大賞、新人賞、総合3位受賞。
(マガジンID:0000136378)

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