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激辛カレー批評 |
カリー専門店 マッサーラ 中央区南8条西11丁目 |
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2004年3月再訪 昼飯を食べずに用事をいろいろとたしていたら16時を回ってしまった。腹が減って死にそうになる。「北海道スープカレー読本」で、めぼしい店を調べる。しかし、ほとんどの店が中休み中ではないか・・・。愕然。そんな中、通し営業のありがたい店を発見した。『マッサーラ』である。ありがたい、ありがたい。 久々の訪問である。食べてないメニューが何種も存在。茄子好きの私としては、「イタリアンロースト茄子のホットカカリー」が気になるのでこれにした。 「少し辛いですけどよろしいでしょうか?」 大丈夫、大丈夫。『マッサーラ』は辛さ設定のない店である。いくら辛いといっても、最初から出てくる辛さがそんなに辛いということはあるまい。 「いや・・・、ずいぶんと辛い」 さすがに、『マッサーラ』は気合が入っている。辛いといえば辛いのだ。「ホットカリー」の名前に負けない辛さ。このカレーを辛くないと言いはれる人は少ないはず。というか、辛いのが苦手な人は食べられないレベルに至っている・・・。だが、もともとが辛さ設定がないので、これだけスパイシーな一皿があってもいいだろう。 数種のナスとズッキーニが入り、小さく切ったパプリカが彩りを添える。まずは、茄子を食べやすいサイズに切ってから食べ始める。なるほど、茄子という素材がこの激辛スープと実にマッチする。辛さを堪能するのを妨げないシンプルさ。そして、茄子の甘さが、スープの辛さとコントラストをなす。これだけの辛さは一種の必然。結果として、そう理解できよう。 スープの味はいつもの味。ゴマ油に似た風味が強烈。しかし、ライスを浸して食べると非常に食べやすく食べられる。 さて、最後まで食べきると、額には汗が流れた。 |
ただ、具がナスとパプリカだけというのが、ちと寂しい。後半になると食感がやや単調になった。シンプルな具でシンプル味わうというコンセプトは理解するが、約1200円という値段を考慮すると、あと何種類か具材が入っていて欲しいなあ・・・。 同伴者の「あさりとほうれん草のカリー」を試食。こちらも、非常にシンプル、そしてヘルシーな一皿。『マッサーラ』のコンセプトが非常によく理解できる。食べ合わせが非常に研究されている。シンプル・イズ・ベスト。しかし、スープそれ自体はシンプルなものではない。あくまでも、スープが主役。スープの魅力を最大限に引き出す具材選択がそこにはある。 (2004年3月) |
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初回訪問時 カレー屋めぐりは、やめられない。こんな素晴らしい店が、次々とオープンしてくるとは驚きである。新たなカレーとの出会いは、感動的ですらある。 『マッサーラ』は、つい2ヶ月ほど前に開店したばかりの店である。丁度、私の家の帰り道にあたるので、すぐに行こうとずっとチェックしていたのだが、やっと本日たちよるチャンスを得た。 南9条通と西11丁目通の交差点の近くであり、車で行くという意味でのロケーションは良好である。大きな看板と、きれいな店先は遠くからも目立つ。特に、今回は夜に訪れたが、ガラス張りの入り口から店の中が赤っぽく輝いてきれいであり、雰囲気もオシャレでカレー屋というよりは、しゃれた喫茶店である。中に入ると、オープンしたてということもあり、すごくきれいで、木の作りがはえる。 |
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カウンターに座って、注文する。オーソドックスなところで、レギュラー(ポークと野菜)を頼む。そして、きれいなのは店構えだけでなかったことに気づく。カレーを作る店長とおぼしき女性は、20代の美人の女性で、二人の若い店員がまた超かわいい。カレー屋とは、全く思えない。清潔感とちょっとおしゃれな感覚が店内に満ち溢れている。 注文してすぐに、カレーが運ばれてくる。ずいぶんと、早い。ちょっと驚く。 スープカレーである。しかし、スープカレーにしては、色が濃く、透明感はない。スープカレーというよりは、スパイスカレーかなと思い、口に一口含む。思ったより、スープは濃くない。あっさりとした感じもある。しかし、想像以上に辛い。というか、普段あまり口にしない一種類のスパイスの刺激だけが、口内を駆け巡る。だから辛いというわけではないのだが、想像以上にスパイシーである。良い意味で予想を裏切られた味である。「こんな手が残っていたのか」という驚き。今まで、口にしたことないカレーであることは、確かだ。この少しドロリとしたスープでありながら、飲みやすいというのが不思議である。和風だしを使いながら、野菜のうまみを引きだし、動物系のダシが強まらないよう、絶妙の抑制が効いている。とにかく、こんなスープは飲んだことがない。 そして、驚きは具へと至る。私の大好きな半熟卵くんと、こんなところで出会えるとは。それも、絶妙の半熟具合で、二切れ(卵一個分)が入っている。ささやかな贅沢。カレーに入れられる卵は半熟であるべきだという主張を、私は以前より続けてきたが(『ボスコ』参照)、『マッサーラ』のような本物の半熟卵というのがなかなかないのである。ここで、私は理想の半熟卵と出会えた。感動的な出会いである。 他の具も良い。メニューに書かれたポークとは何か、気になっていた。ポークが一体、どんな形状でスープの中に入っているのかと。スープを見て、納得した。豚の角煮である。とろりとした角煮は、スプーンだけでも、ちぎれる。ちぎれた角煮が、スープ粘稠度と絶妙に馴染む。私は、肉の入ったカレーは、スープのうまさを妨害しがちなので、あまり好まないのだが、この角煮はスープとのハーモニーがピタリと合っている。 このカレーで唯一欠点をあげるとすれば、ナスである。ナスがかたい。ナスの歯ごたえを敢えて残して、食感も楽しんでもらおうという目論見はわかるが、カレーにはトロトロのジューシナスが不可欠である(私のナスに対するこだわりは、『ママカレー』参照)。このカレーの具の中で、ナスだけが、スプーンで切れないのも気にかかる。ナスだけが少し食べにくくなってしまっている。 このカレーにもう一つの驚きを発見した。辛さは自分で調整してくださいということで、卓上にチリ・ペッパーが載せられている。私はチリ・ペッパーで自分で辛さを調整するというシステムが大嫌いである。チリ・ペッパーを入れても、辛さだけが増えるだけで、うまみは増えないから、ただ辛さだけが協調されて、スープのバランスを壊すからである。そうした軽蔑の念を込めながら、どのくらい辛くなるのかという実験の意味も含めて、スープを三分の二ほど飲んだところで、チリ・ペッパーを二匙入れてみる。チリ・ペッパーがかき混ぜもしないのに、スープの表面をひとりでにさーつと広がる。一瞬、スープがレッドカレーへと変貌する。チリ・ペッパーとスープの馴染み方が違うのだ。そう思って、スープを飲んでみると、妙にスープとチリ・ペッパーの相性が良いのだ。こんなことは、今まで一度も経験したことがない。この粉の中に、チリ・ペッパー以外に何か別のスパイスが混ぜられていたのか。そこまでは、わからなかった。とにかく、スープとチリ・ペッパーの相性が良い。やはり、このスープの粘稠度は独特で、うまくペッパーとも混じるのだろう。 ライスは、全く普通のライスだったが、お替り自由だというから驚かされる。太っ腹。 カレーを食べながら、店内を見ているとまた驚く。時間は、19時半を回っており、夕食には少し遅い時間になっているというのに、25席ほどの店内が次々と客で回転している。常に6、7割の客の入りである。まだ、開店して二ヶ月足らずだというのに、この繁盛は何なのか。このスープのうまさと可愛い店員に魅了されて、私も常連客となる日も遠くはないだろう。 また、かなり混雑しているにもかかわらず、客を待たさず、次々とカレーを出していく店長の手際は鮮やかである。 『マッサーラ』は開店早々にして、既に人気カレー店の仲間入りを果たしたようだ。 他のメニューもかなり気になる。おそらく、レギュラー以上の驚きを提供してくれることは間違いないだろうから。 |
『マッサーラ』について、どうしても欠点をあげるとすれば、それは駐車場だろう。これだけの人気店でありながら、三台(つめて四台?)の駐車スペースは、少なすぎる。路駐できなくはないが、交通量の激しい南9条に路駐するのは、かなり気が引ける。とは行っても、店の立地から考えて、駐車場の増設は無理のようである。 まだまだ札幌には、私の知らないおいしいカレー屋がたくさんあるのだろう。そう思わせてくれる点で、『マッサーラ』は私のカレー屋めぐりを非常に勇気付けてくれた。しかし、新しい店にいくよりも『マッサーラ』の別メニューを食べたいという衝動にかられそうである。 (2000年10月13日) |
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ベーコンとしじみ しじみはカレーの具としては、珍しい。食べないで、単なるダシ的に入っているのかと思いきや、殻入れを出してくれたところを見ると、やはり食べてよいようだ。スプーンとフォークだけでは、とても食べずらいなあと思って、手で殻をつまんで一口食べると、トロリとしたシジミがすぐにほぐれた。思ったほど食べずらくない。 ベーコンし、思ったより厚く切ってある。五ミリくらいの厚さがあるので、ベーコンの食感を十分に味わうことができる。そして、かなりたくさん入っている。ベーコンの油っぽさと、ジジミのアッサリ感とが調和して、丁度良い。また、丁度ベーコンが蝶々の形になって可愛らしいのが、マッサーラらしい。 |
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それにしても、きれいな店内である。照明を普通の店よりも明るめにしているようだ。そして、整然と片付けられた厨房内は、芸術的にきれいである。例えば食器棚に並べられた食器のぜいたくなスペースの使い方である。 あまりにもきれいすぎるので、食べた食器はどこに片付けているのかと思いきや、洗い場は客の目が届かない奥に置かれているのである。カレーを作る過程だけを見せるという素晴らしい配慮である。 また、接客態度も感心するものがある。小学生くらいの子供を二人ほど連れた女性が入ってきたが、「ここのカレーはすこし辛いですがだいじょうぶでしょうか」と、客が着席する前に、すかさず聞いていた。たいしたものだ。 『マッサーラ』は都会のアオシスである。そんな気がした。 (2000年11月4日) |
再食 かき卵とトマト 久々に『マッサーラ』を訪れた。ここの人気メニューである「かき卵とトマト」をいただく。 店長が目の前で調理していく様子は、料理ショーである。手際のよさは相変わらずであるし、それを見ていると食欲がどんどん高まっていく。 ライスを大盛りにしてもらったら、かき卵も大盛りなったようだ。かなりのボリュームに驚く。これで無料サービスなのだから、二度驚く。 まず、この黄金の卵を見ていただきたい。食べなくても味は想像できるだろう。卵の半熟具合が、絶妙である。「スープに浸して食べてください」と言われるが、まずは浸さずに「半熟卵かけご飯」として一口いただいてしまった。この食感がたまらない。カレーなしでも十分おいしいが、スープと一緒に食べるために、塩味等はついていない。 卵とご飯を一緒にスプーンにとり、スープに浸していただく。相変わらずのパンチの効いたスープだ。スープの強烈な個性を卵がやさしく包み込む。今までに食べたことのない食感。そして、味のハーモニー。もうこれは、スープカレーではない。新たな料理として別な次元へと進化している。 トマトの酸味が、味のアクセントとなり、舌を初期化して、次の一口を新鮮なものにする。 |
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後半、チリペッパーを加えて食べてみたが、辛さと卵の相性はあまりよくないみたいで、そのまま味わった方が良かった。卵の微妙な甘さが辛さでマスキングされてしまい、むしろ味が単調になってしまう。 しかし、すごいボリュームだ。店に来たときは、かなりの空腹だったのが、完全満腹状態になった。精神的、肉体的に完全な満足状態となった。 最近、自分の好きな店を中心に、再食して味やサービスの変化を比べている。味やサービスの低下が見られる店が多い中、あいかわらずの高レベルを維持していて一安心した。 (2002年7月) |
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![]() 店の雰囲気を象徴するような、シンプルできれいなカードである。 |
![]() 場所は分かりやすいし、行きやすい(私にとって)。 |