インランド・エンパイアの解読 第4章
「インランド・エンパイア」を一言で言うと
「インランド・エンパイア」で重要なのは、「誰かに見られている」という感覚です。
ニッキーは、「誰かに見られている」という感覚に支配され、次第にナーバスになっていきます。
これは、精神医学的には、「被注察感」と呼ばれます。
「被注察感」というのは、ある精神疾患にかなり特異的に認められる症状です。
その疾患とは、「統合失調症」です。
「誰かに見られている」「誰かに監視されている」
そういった症状が見られた場合、まず「統合失調症」が疑われます。
アカデミー作品賞受賞作、ラッセル・クロウ主演の「ビューティフル・マインド」でも、「被注察感」は描かれていました。
暗号解読にたずわっていた天才的数学者ジョン・ナッシュは、何か怪しげな組織に監視されている。誰かに見られている。
そういった症状にとらわれ、次第に「統合失調症」という病に蝕まれていきます。
さて、難解と言われる、「インランド・エンパイア」ですが、一言でいえば簡単です。
あまりにも簡単すぎて拍子抜けしてしまうでしょう。
でも、あんまり引っ張っても、読者の反感を買うでしょう。
そろそろ、ハッキリ言え、と思っている人も多いでしょう。
では、ハッキリと言います。
言いますよ。
「インランド・エンパイア」を一言で言えば、
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「主人公ニッキーが、統合失調症を発症する話」
ということになるでしょう。
唐突でしたか?
それとも、想定の範囲内?
リンチ映画のファンにとっては、唐突ではなかったはずです。
なせなら、リンチ監督は、過去にもほぼ同じ映画を撮っています。
それは、「ツイン・ピークス」です。
「ツイン・ピークス」も公開当時、いろいろと言われました。
「難解」だとか、「最後がよくわからない」とか、「途中で終わってしまった」とか。
でも、「ツイン・ピークス」は、「難解」でもなく、途中で終わってもいまくせんし、「最後」はハッキリとしています。
「ツイン・ピークス」を一言で言えば、
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「主人公クーパー捜査官が、統合失調症を発症する話」
ということになります。
さて、統合失調症という病気についてよく知っている人であれば、「インランド・エンパイア」が、「主人公ニッキーが、統合失調症を発症する話」であると要約されることに同意してくれるとは思いますが、「統合失調症」といっても、どういう病気なのかサッパリわからない人がほとんどだと思いますので、もう少し詳しく説明しましょう。
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